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メタノールに関するKocの値は他のガソリン酸化剤(MTBEについては12以下)および芳香族(ベンゼンについては100以下)の値と比ベ低くなっている(8以下)(表1-2参照)。結果的に土壌と水の環境においては、メタノールは優先的に水の媒体の中に存在するだろう。

表に掲げられたKocの値に関して、吸着による減速は無視できるものである(Woodその他、1990年;Zogorskiその他、1997年)。メタノールと他の短い分子鎖アルコールに対する遅れ因子は通常ひとつだけである。このように、溶解したメタノールは、10%以上の有機炭素含有量を持つ土中を除いて地下水の速さで移動するだろう(すなわちfoc=0.1のとき、Kdは約0.8であり、土壌に吸着した、あるいは水中に溶解したメタノールとほぼ同等の濃度を示している)。結果的にメタノールは、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンあるいはキシレン(BTEX)等のガソリン類に含まれる成分よりはるかに速い速度で地下水の中を移動するだろう。しかしながら、急速な溶解とバイオ分解のため、最終的なメタノールのプルームの長さはBTEXのプルームの長さより短くなるだろう。

 

2.4 メタノール溶解

 

地下水へのメタノールの溶解は純粋メタノール(M100)貯蔵所からの溶解を含む。このシナリオの下ではメタノールは漏出部分から急速に地下水に浸出する可能性がある。ガソリンの漏出に関して、水と接触したガソリンの炭化水素とエーテル酸化物の水性濃度は、ガソリン中のモル数に水中の炭化水素の溶解度を乗じて推測することができる(MTBEの理論的最大溶解度は48,000ppmx容量の11%=5,280ppm) (Poulsenその他、1992年)。しかしながら、メタノールは水と完全に混和性があるため、この関係は壊れ、その濃度は燃料と地下水の混合率と希釈要素を使った、予想混合条件に基づいて推測されなければならない。

土中の混合率が10と100の間と仮定すると、メタノール濃度の最大範囲は、M100の漏出に関して容量で0.9から9.1%(質量で7,000から70,000ppm)となるだろう。しかしながら、これらの高い濃度は純粋メタノールの漏出のごく近辺でのみ発生するだろう。メタノール・プルームの希釈化により発生滅からさらに遠くでは、より低い濃度が予想されるだろう。

これに対し、地下水の中のメタノールの濃度は漏出の流量の率や地下水の速度、および発生地点の幅および垂直混合率を仮定することにより概算することができる。たとえば、メタノールが地下の貯蔵タンクから約0.5gpmで漏出し、地下水が1ft/1日で動き、発生地点の幅が1メートルで垂直混合率が10から100と仮定すれば、地下水の中の最終メタノール濃度は70ppmから700ppmの間となるであろう。これらの濃度は大規模な地下貯蔵タンクの漏出(すなわちタンクの全損)や艀からの漏出のごく近辺においてはさらに高くなるであろう。しかしながら、メタノールの溶解度は無限であるため、ほとんどの場合において、分散および拡散の結果メタノールの濃度は急速に低下するだろう。

 

 

 

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