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1965年以降メタノールは純粋メタノールM100あるいはメタノールと通常ガソリンの85/15の混合物(M85)として特定の自動車の燃料として使用されてきた。例えば、メタノールは30年以上インディー・レース・カーの燃料として使用されてきた(CEC、1998年)。1987年に最初の試作変換燃料自動車(通常ガソリン、M85あるいは2つの燃料のすべての組み合わせで走行できる)がフォード社により開発された(CEC、1998年)。いくつかの石油会社と連携してカルフォルニア・エネルギー委員会により資金援助されたプログラムが最初の給油インフラを提供した。このプログラムに従い、フォードは1993年に2,500台(うち2,137台がカルフォルニア)のTaurus変換燃料自動車を製造した(CEC、1998年)。変換燃料自動車は当初国の石油依存度を減らすことと、一酸化炭素やオゾン形成排出物を1990年修正大気清浄化法(the Clean Air Act Amendments―CAAA)により規定されたレベル以下に減らすことができるように生産された。

カリフォルニア州は現在運行している変換燃料自動車(小型および大型自動車)の数で他をリードしている。1994年時点で10,000台の小型変換燃料自動車と485台の大型自動車(CEC、1994年)、1998年時点で約15,000台の小型変換燃料自動車となっている。これらの変換燃料自動車に便宜を与えるべく、カルフォルニア州は110箇所以上の公共および民間メタノール給油施設を設置した;しかしながら、このネットワークは燃料を求めるすべての個人消費者にM85を不自由なく供給するには十分ではない(http://www.energy.ca.gov/)。

その理由について、メタノール変換燃料自動車は広く普及しなかったことと、現在は製造されていないことが指摘される;変換燃料自動車の長所と短所はこの報告書では検討されなかった。

最近、研究者達は燃料を変換する内燃エンジンから燃料電池の技術に転向している。1994年にジョージタウン大学は最初の液体燃料の燃料電池自動車を開発した。燃料電池は水と電気と熱を形成するため水素と酸素を電気化学的に組み合わせる。燃料電池自動車のすべての燃料の目的は、水素の原料として使用することである。常温、常圧で液体であるというメタノールの特性、炭素に対して水素比が高いこと、比較的低い燃焼温度であることから、メタノールは燃料電池自動車のための理想的な水素源とみなされている(Nowell、1998年)。いくつかの自動車メーカーによる燃料電池自動車の絶え間ない開発努力は、予測される低いコスト、環境負荷が少ないこと、モデル年の2003年型自動車の10%がゼ口排出自動車(ZEV)であることを求めているカルフォルニア、ニューヨーク、マサチューセッツおよび他の地域の規制により加速されている。ゼロ排出自動車は一酸化炭素、揮発性有機成分(VOC)、非メタン有機ガス(NMOG)、ホルムアルデヒド、窒素酸化物(NOx)、あるいは粒子状物質を排出しない自動車である。メタノールを動力とする自動車は部分的な排出単位(クレジット)を受けるにとどまる(すなわちゼロ排出自動車のゼロの排出に対して1のクレジットが適用される場合、0.7のクレジット) (CARB、1998年)。この理由は非メタン有機ガスの範疇にあるメタノールの使用に関連したいくつかの蒸発性の排出が存在するためである;しかしながら、二酸化炭素と水蒸気を除いて、すべての化学物質の走行中の排出はかなり減らされる。結果的に、2004年までに世界的に大量に普及するとみられる燃料電池自動車を開発し販売するための明らかな経済的および環境的動機が存在している(Nowell、1998年)。

 

 

 

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