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消滅と移動

メタノールは環境の中で、草木や微生物および他の生物のさまざまな生物学的作用により自然に発生するが、高濃度のメタノールが地下水、地表水あるいは土壌に大規模に漏洩した場合、環境に悪影響を与える可能性がある。いったん漏出すると、メタノールの半減期(漏洩したもの、あるいは現在の量が50%減少するために要する時間)は以下の多くの要因に左右される:漏洩の形態、漏洩の量および影響を受けた媒体の物理的、化学的および微生物学的特性。表ES-3はさまざまな報告書から取りまとめた、さまざまな環境媒体における予想きれるメタノールの半減期の範囲の推定の要約である。

表ES-3 環境中でのメタノールおよびベンゼンの推定された半減期

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Howardその他から参考。(1991年)

これらのデータによれば、漏洩シナリオに関わりなくメタノールは地下水、地表水、大気あるいは土壌には蓄積しないようにみられる。

メタノールの物理的および化学的特性は、個々の概念的な漏洩シナリオの下で、さまざまな環境媒体における、この化学品の消滅と移動をさらに定義するための役に立つ。土中と地下水からのメタノールの消滅は、その高い溶解度と、抑制要因が低いことによって土壌への吸着による消滅が少ないために、バイオ分解と移流(分散と拡散)が有力なメカニズムであると想定される。地表水の中ではメタノールの無限の溶解力は、強い波、風および潮で希釈化がすすみ、結果としてより低い濃度(<1%)になるであろう。

 

 

 

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