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表ES-2 米国におけるメタノールの推定漏洩量

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USEPA、1994年a。Zogorskiその他、1997年。

3つの概念上の漏洩モデルあるいはシナリオがこの研究の一部として考慮された。これらは以下を含む:タンクローリーあるいは鉄道車両からの漏洩、船舶からの漏洩、および給油施設の地下貯蔵タンク(USTs)からの漏洩。タンクローリーあるいは鉄道車両からの漏洩はさまざまな状況で起こりうる。鉄道車両の事故からは潜在的に34,500ガロンまでのメタノールの漏洩の可能性がある。米国においては鉄道によるメタノールの輸送に加えて、そのメタノールの需要の一部を海外に依存しており、そのすべては船舶により輸送きれている。このため、海洋、入り江、河川などの環境への漏洩が懸念される。典型的なタンカーは45,000トンの製品(13.6百万ガロン)を輸送し、1999年には96,000トン(29.1百万ガロン)の船舶が、メタノール輸送専用に導入される予定である。3番目の漏洩シナリオは地下貯蔵タンクでの給油や貯蔵に際してのメタノールの漏出である。典型的な地下貯蔵タンクは漏出検知装置が作動するまでに1分間あたり0.5ガロン(0.5gpm)の割合で地中に燃料を漏洩する可能性がある。この規模の漏洩は一般的でないにもかかわらず、地下貯蔵タンクからの重大なメタノールの漏洩の可能性を見過ごすことはできない。

大気清浄化法(Clean Air Act―CAA)、水質清浄化法(Clean Water Act―CWA)、および安全な飲料水に関する法律(Safe Drinking Water Act―SDWA)は地下水、地表水あるいは大気中のメタノールの監視を要求していないため、大気中や水中におけるメタノールの発生に関して国としての監視データは入手できない。しかしながら、土壌、大気、地表水および地下水などの環境要素の中でのメタノールの活動は、その化学的、物理学的特性に基づき予測することができる。メタノールは無色透明でかすかなアルコール臭を持つ揮発性の液体であるが、低い濃度で大気中で検知することは困難である(<10ppm)。メタノールはただ1個の炭素原子をもつ最も単純なアルコールであり、水に完全に溶解する。それは他のアルコールや塩素化炭化水素に簡単に溶けるが、ディーゼル燃料や植物油、および脂肪族炭化水素の中では溶解度に限度がある。不慮の漏出が起こったような場合には、メタノールのよく知られた特性が環境中のメタノールの消滅と移動を表現するために用いられた。

 

 

 

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