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環境中のメタノールの消滅と移動の評価

 

委託:

米国メタノール協会(American Methanol Institute)

800 Conneticut Avenue, NW, Suite 620

Washington, DC 20006

作成:

Malcolm Pirnie, Inc.

180 Grand Avenue, Suite 1000

0akland, California 94612

1999年1月

3522-002

 

要約

 

この報告書の目的はメタノールに関する既存の情報、つまり環境中におけるその消滅と移動、および人の健康と環境への潜在的な影響があるとすれば、それを要約することである。現在使用されている15%のガソリンと85%のメタノールからなる混合燃料(M85)に対するものとして、将来燃料電池自動車に使用が予想される純粋メタノール(M100)が本研究の主要課題である。この研究の一部として参照された100を超える資料に基づき、全体の文献の検証が行われた。大気清浄化法(Clean Air Act─CAA)、水質清浄化法(Clean Water Act─CWA)、および安全な飲料水に関する法律(Safe Drinking Water Act─SDWA)のいずれもメタノールの監視を義務付けていないため、環境中におけるメタノールの発生に関する国のデータベースは評価の際に入手できない。このため、文献やコンピューター・モデルの中に保存された研究室や野外研究からの結果が、環境中のメタノールの消滅と移動の評価に使用された。この研究の成果のさらに詳しい要約が以下の詳しい報告書の中で提供されている。この要約はこれらの成果の概要を述べている。

 

背景

 

メタノールは1800年代以降、広範に使用されてきた産業化学製品である。メタノールは銅をべースにした触媒を用い天然ガスと二酸化炭素を混合した蒸気から生産される。メタノールは現在、ホルムアルデヒド、酢酸、クロロメタンおよびメチル・第3ブチル・エーテル(MTBE)等広範囲な有機化学製品の投入原料として使用されている。メタノールはまたペンキ落し、ペンキ、キャブレータークリーナー、プラスティック、合板および自動車のウインドウ・ウオッシャー液の中で溶剤として使用されている。1965年以降メタノールは米国において、M100またはM85として、特定の自動車(例えばレーシングカー)の燃料として使用されてきた。通常のガソリンとM85あるいはこの2つの燃料のいかなる組み合わせでも利用可能な変換燃料自動車(FFVs)が、1978年にフォード社により開発された。いくつかの石油会社と連携してカルフォルニア・エネルギー委員会により資金援助されたプログラムが最初の給油インフラを提供した。FFVsは本来米国の石油依存軽減および一酸化炭素やオゾン形成排出物を減らすことを目的として製造された。

M85の給油設備のネットワークが不十分だった等さまざまな理由から、メタノールFFVsは広く普及するには至らなかった。このため、将来導入が予想される、より厳しい排出基準に適合する様な、清浄な燃焼をする他の自動車が求められている。最近、研究者らは燃料を変換する内燃エンジンから燃料電池の技術に転向している。1994年にジョージタウン大学は、燃料電池の中で水素と酸素の反応によりそのエネルギーを取出す、最初の液体燃料の燃料電池自動車を開発した。世界の大手自動車メーカーがメタノール燃料電池自動車の商業化をめざして取り組んでいる。常温、常圧で液体であるというメタノールの性質、炭素に対して水素比が高いこと、比較的低い燃焼温度であることから、メタノールは燃料電池自動車のための理想的な水素源とみなされている。燃料電池自動車の絶え間ない開発努力は、予測される低コスト、環境面で負荷が少ないこと、2003年式自動車の10%がゼロ排出自動車(ZEV)であることを求めているカルフォルニア、ニューヨーク、マサチューセッツおよび他の地域の規制により加速され、また地球温暖化への関心もそれを加速されている。結果的に、2004年までに世界的に大量に普及するとみられる燃料電池自動車を開発し販売するための明らかな経済的動機が存在している。

 

 

 

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