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メタノールのもうひとつのリスクはそれがほとんど目に見えない炎で燃焼することである。メタノールが輸送燃料として使用されることができる前に、トルエン、ガソリンあるいは他の炭化水素のような発光添加物が必要とされる。しかしながら、そのような添加物はメタノール改質器の性能に影響を与える可能性がある。利用可能な発光添加物は現在使われている低温メタノール蒸気改質器の中では改質しないだろう。燃料の中の添加物を処理するために、メタノール燃料電池自動車は高温改質器か、自動車に複雑性を加えることになる他の修正を必要とされる可能性がある。

図9.1 火災の安全性比較

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その相対的に低い引火と熱発生のリスクのため、開放された場所での火災による傷害のリスクはメタノールはガソリンより小さい。しかしながら、閉鎖された環境ではそのリスクはより大きくなる。メタノールの火災はその炎がほとんど見えないため、検知することが非常に困難である。

毒性

メタノールはガソリンに比べかなり毒性があるため、事故による摂取のリスクを避けるための予防措置を取る必要がある。ガソリン摂取による傷害は稀だが、メタノールの2から4オンスの摂取でも命にかかわる可能性がある。

メタノールは無色、無臭および無味であるため、事故による摂取のさらなるリスクを抱えている。国立毒物管理センターによる研究は、予防措置がなければメタノール燃料の事故による摂取はガソリンの使用以上に重大な追加のリスクを生み出すと示唆している。

事故による摂取の2つの主な原因は管での吸い上げと子どもが監視を抜けて近づくことである。管での吸い上げはすべての摂取事故の約55%の原因となっているため、メタノール燃料電池自動車はその燃料タンクに管での吸い上げを防止する装置を付ける必要がある。

 

 

 

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