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安全性、健康および環境

 

メタノールとガソリンは長所と短所の両方を持つ。しかしながら、メタノールが新しい輸送燃料として使用することができるようになる前に、その安全性、健康および環境への問題が注意深く評価される必要がある。

メタノールは長い間化学原料として使用されてきた。そして化学業界は正しい予防措置により、メタノールは安全に取り扱うことができることを示してきた。しかしながら、メタノールを輸送燃料として使用することは、安全に取り扱う責任を一般社会に広げることになる。この拡大した環境の中でメタノールを安全に取り扱うことを確実なものにするために、火災の安全性、毒性、漏出、および地下水汚染に関する問題が適切に処理されなければならない。

火災の危険性

メタノールはガソリンより火災のリスクが低い。メタノールの揮発性はその爆発限界の下限界以下であるため、自動車事故の際のような外部の環境に曝された時にガソリンより引火の可能性が低い。

米国環境保護庁(EPA)はメタノールの火災のリスクをディーゼル燃料のリスクと同じ程度としているが、これはガソリンと比較して火災の実例がより少ないものである。加えて、メタノールの燃焼温度は低く、蒸発温度は高いため、メタノールの火災はガソリンの火災ほど深刻ではない。メタノールの蒸気圧は通常の周辺温度のもとで、その爆発限度の範囲と重なっているため、メタノールが小売店の貯蔵漕や自動車の燃料タンクのような閉鎖された場所において外気に曝された時、燃焼可能な混合気が燃料の上面に形成されることを意味している。

比較では、ガソリンの蒸気は燃料の中で濃すぎて燃焼できず、ディーゼル燃料は希薄すぎて燃焼できない。結果日に、輸送中および貯蔵中のメタノールは、燃料を窒素の層で包むとか、燃料上部の空気の量を最小化するために浮かせたルーフ・タンクの中にそれを入れる等の、特別の予防措置が必要である。メタノール燃料電池自動車はまた燃料タンク火災のリスクを最小化すべく設計された燃料タンクを持つ必要がある。

 

 

 

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