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自動車に適正な効率

現在の中型乗用車は約18%のエネルギー効率である(燃料の中の18%が自動車を動かすために利用できる)。燃料を生産するために使われたエネルギーを除けば、自動車に適正な全体の効率は約 15%という結果になる。直接噴射等の内燃エンジン技術における進歩により、その効率を20%以上に高める可能性がある。ガソリンを動力とするハイブリッドと燃料電池のデザインが自動車の効率を2倍にした場合、全体の効率は30%以上に上昇するだろう。

しかしながら、メタノール燃料電池自動車もまた従来の自動車の効率の2倍に到達した場合、その全体の効率は23%であろう。これはガソリン・ハイブリッドあるいはガソリン燃料電池自動車よりかなり低く、先進の内燃エンジン技術により獲得できる効率に近い。メタノールが天然ガスではなく石炭から生産された場合、全体の効率は先進の内燃エンジン技術により到達できる効率以下に低下する。

燃料サイクルの二酸化炭素の排出

二酸化炭素の排出という世界的な問題は自動車の排出の観点からだけではなく、自動車に適正なべースからも検討される必要がある。これは燃料の汲み上げ、生産および配送を通じて放出された二酸化炭素の量を含む。

18%の効率で走行する現在の中型ガソリン動力自動車は1キロメーター当たり約220グラムの自動車に適正な二酸化炭素を排出する。ハイブリッドと燃料電池自動車はその量を1キロメーター当たり約110グラムに減らすことができる。自動車の二酸化炭素はメタノールにより減少するにもかかわらず、全体の「燃料の採掘から消費までの(well-to-tailpipe)」二酸化炭素の排出は、ガソリンをべースとした燃料電池あるいはハイブリッド電気システムからの量とほぼ同じである。これはメタノール生産の相対的な非効率性が、メタノールの「車載」という利点を相殺するためである。

結局、メタノールで走行する燃料電池自動車もガソリンで走行する燃料電池自動車もその二酸化炭素の排出はほぼ同じであるに違いない。しかしながら、メタノールが天然ガスではなく石炭から生産された場合、現在の自動車に改良が行なわれないとすれば、二酸化炭素の排出は1キロメータ当たり220グラムに上昇する。

 

 

 

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