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自動車に適正な効率とエミッシヨン

 

「エネルギー効率」という用語は自動車の効率だけを含むものではない;それはまた燃料を生産し、それを顧客に配送するために消費されるエネルギーの量も含んでいる。これらの要素が合わさって燃料の「採掘から消費まで(well-to-wheels)」効率が判定される。このべースに基づき、ガソリンはメタノールよりエネルギー効率がいい。

炭化水素対メタノールの生産効率

含まれる多くの段階を考慮すると、石油を輸送燃料に転換することは極めて効率的である。

平均して、炭化水素燃料はもともと石油に含まれているエネルギーの85%を留めている。石油のエネルギーの約 5%が汲み上げや輸送を通じ、およびその最終製品の配送の中で失われる。さらにそのエネルギーの 10%が、主に生産工程で必要とされる熱を提供するために、精製の中で消費される。

処理済みバージン・ナフサが燃料電池自動車のために選ばれた燃料になった場合、ナフサを生産することは高オクタン価で、酸化された燃料を生産するよりもエネルギーの消費が少ないため、精製のエネルギー効率はさらに改善されるだろう。

メタノールの生産はガソリン、ディーゼル、ナフサおよび他の炭化水素燃料を生産する時よりもより多くのエネルギーを消費する。石油の精製は約 90%の効率であるが、メタノールの場合、工程の制限のため、最新の天然ガスをべースとしたメタノール・プラントの効率でさえ約 68%にとどまっている。石炭からのメタノールの生産はさらに効率が低く、メタノール燃料の中には石炭エネルギーの60%以下しか留まらない。

メタノールの形でエネルギーを運ぶことは炭化水素燃料としてエネルギーを運ぶよりも効率が低い。メタノールの低いエネルギー密度のため、ガソリンに含まれているのと同じエネルギー量を供給するためには、その2倍の量のメタノールを運搬する必要がある。消費者のもとに届くまでに、メタノールにはその原料である天然ガスに当初含まれていたエネルギーの63%だけが留まる。

 

 

 

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