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固体酸化物─溶融炭酸塩システムと同様、固体酸化物型燃料電池は高温(約華氏1800度)で稼動し、大規模な固定発電プラントで使用される見込みである。日本には2つの25kWの設備があり、100kWのプラントが欧州でテストされている。

リン酸─商業的に最も成功した設計のひとつで、リン酸型燃料電池は病院、養老院、ホテル、オフィス・ビル、学校および発電プラント等で電気を生産するために使用されてきた。リン酸型燃料電池は40%以上の効率を持っており、それらが生産した水蒸気が再使用されれば、85%の効率に到達することができる。この工程はコジェネレーションとして知られている。

陽子交換膜(PEM)─この低温電池は燃料電池自動車に動力を提供する最有力候補である。陽子交換膜電池は電解質としてポリマー膜を使用し、この技術は1990年代初期にBallard Power Systems社により、自動車への使用のために採用された。その高い出力密度、低い運転温度および低コストの可能性のため、陽子交換膜燃料電池は小型自動車のための最有力候補である。これらはまた建物や、最終的には携帯電話およびビデオ・カメラなどのようなずっと小さな機器のために電気を生産するために使用される可能性がある。

将来的には陽子交換膜燃料電池は、液体燃料で直接稼動する可能性があるが、そのための技術は依然として研究段階であり、おそらくここしばらくは自動車での使用は無理であろう。

図3.3

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燃料スタックは燃料からの水素を電気に転換する。左の図のBallard Power Sysytems社による設計のような、現在の改良されたスタックは内燃エンジンと同様の大きさで、より多くの動力を生産することができる。

図3.4

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陽子交換膜燃料電池のコストと大きさは過去15年間に劇的に低下した。そのコストはなお内燃エンジンのコストより高いが、普段の技術改良と大量生産がその差を確実に縮めていくだろう。

 

 

 

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