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はじめに

 

新しい世代の自動車が今、高性能とエミッション低減を提供している。将来的に、燃料電池はさらに多くのものを約束している。それらは排出ガスが著しく低いという点で、従来の内燃エンジンの2倍の効率を達成するだろう。

背景

1970年以前には馬力、大きさおよび快適さが自動車の主要なセールス・ポイントだった。しかしながら、1970年代の初期に大気の質に対する社会の関心が高まり、その焦点は自動車の排出ガスに移って行った。まもなく新しい燃料の品質および排出基準が導入され、石油業界と自動車業界は無鉛ガソリンや触媒コンバータのような排出ガス制御技術を開発することで対応した。ここ数年、業界は排気ガス再循環、燃料噴射および改良ガソリンを含む低排出技術を提供し続けて来た。

OPECの石油禁輸に続く1970年代の高価なガソリン価格もまた、燃料経済への社会の関心を高めた。1978年に企業平均燃料経済性(Corporate Average Fuel Economy)基準が米国の輸入原油への依存を減らすために導入された。

自動車メーカーはより小型のより燃料経済性のいい自動車を導入することで、この新しい基準に適合した。1985年までに平均的な米国の自動車の重量はちょうど10年前に比べ1000ポンド軽くなった。一方、欧州では小型ディーゼル・エンジンの普及が乗用車の効率改善に寄与した。

排出ガスと燃料経済性を改善する努力は報われた。新しい米国の自動車は今、1974年当時より2倍の燃料経済性を達成している。当時その平均は1ガロン当たりほぼ14マイルであったが、現在は1ガロン当たり29マイルである。同じ時期、自動車の排出ガスは10分の1以上までに減少した。

しかしながら、すべての新しい技術の導入が商業的に成功した訳ではなかった。バッテリーを動力とする電気自動車は、その高いコスト、限られた走行距離および充電インフラの不足のため、販売は限られていた。代替燃料自動車もまた改質ガソリンのような他の燃料がより安価でより広範に利用できたため、市場への浸透は期待されたよりずっと遅れる結果となった。これらの不成功に終わった試みは、新しい自動車技術はコストと性能において競争力がなければならず、新しい燃料はそれらが市場で成功するためには、広く利用でき使用するに便利なものである必要があるということを我々に教えている。

 

 

 

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