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▼課税は燃料に中立的であるべきである。企業が優遇税なしに活動できるレベルで社会のニーズに応えることを可能にすることが、歴史的にみて実にさまざまなオプションを生み出し、そして結局、最もコスト効果のある解決法であった。

▼水素は運輸燃料として短所がある。水素はコストが割高で、低いエネルギー密度および安全面から、乗用車での使用に関して重大な欠点があると見られる。

▼ガソリンとメタノールの両方のオプションは、商業化の決断が行なわれる前に開発されるべきである。燃料の選択は消費者の好み、自動車販売および資金投下と深い関係がある。燃料選択の誤りはそのまま、この有望な技術の不成功な導入という結果になるだろう。

▼ガソリン燃料は既存の効率の高いインフラを最もよく利用できる。経済的に価値のあるものとするために、完全に新しい生産/配送インフラを必要とするメタノールや水素のような新しい燃料は、既存のインフラを使用することができる代替燃料より優れた長所を提供する必要がある。

▼効率と排出エミッションの比較は自動車に適正なべースで行なわれなければならない。しばしば見落とされる事実は石油からの燃料の生産は非常に効率の高い工程であり、そして自動車に特定の利益を提供する他の燃料は、その生産過程でより低い固有の効率しか持っていない。

▼豊富な資源が炭化水素あるいはメタノール燃料のオプションの両方にとって、長期的に利用可能である。経済的に発見できる石油とガスの埋蔵量は、歴史的にみて減少するよりもむしろ増加した。探査と生産技術に革新を取り入れることで、世界は予見可能な末来において石油とガスの十分な供給を確保し続けるはずである。このため、燃料の選択は資源の利用可能性により制限されることはないだろう。

この出版物は燃料電池自動車のための適切な燃料を選択するにあたり、関係者に多くの考慮すべき事項を情報提供することを目的としている。それは燃料電池技術の概観を含み、いくつかの主要な技術上の問題を述べている。それはまた燃料電池自動車と、ハイブリッド電気自動車や直噴エンジンのようなその他の先進技術とを比較している。最後に、この出版物は自動車設計への影響、燃料生産能力、安全性、健康および環境問題、および全体的な効率性と排出といった、さまざまな燃料のオプションの長所と短所を評価している。

 

 

 

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