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地球の環境変化の科学

地球の環境変化を規定する要素は基礎的な原理に依存している。エネルギー保存の法則としても知られる熱力学の第一法則である。数学的にこれは次のように表わすことができる:

dQ=dU-dW

ここで、dQはシステムに追加された熱、dUはシステムの内部エネルギーの変化、そしてdWは得られた仕事。エネルギーは安定したシステムの中では得られたり、失われることはない;それはただ形を変えることができるだけである。そのようなシステムは、ひとつの「エネルギー均衡モデル」に従うと言われる。安定性を維持するために、地球─海洋─大気のシステムは太陽からエネルギーを吸収し、それを赤外線(熱)エネルギーの形で放射し、潜熱および顕熱フラックスの形で運ぶ。いくつかの自然現象(火山噴火、森林火災、太陽の放射量の変動、一様でない雲の分布等)および人間の活動(燃料の燃焼、エーロゾルの生産、および熱を捕捉する温室効果ガスを解放したり取り除く産業や土地の使用慣行等)が放射の吸収と排出の間の均衡に影響を及ぼす可能性がある。

これらのシナリオに基づき、環境変化に関する政府間パネルは温室効果ガスの増加により、21世紀には地球の平均気温が摂氏1度から3.5度の間で上昇する可能性があると結論した。

1997年に地球の炭素排出量は60億トン以上に達した─この天体の1人に付き1トン以上に当たる。1998年は記録上最も暖かい年であった。そしてこれらの気温の上昇がどのような影響を与えるか誰も確信がない─降雨量の変化、異常気象、そして海面の上昇などすべて起こりうる。環境の性質はそのような事態をシュミレーションすることに困難を伴うため、この環境モデルと科学的な結論は世界的に受入れられているわけではない。その姿は明らかではないが、環境はさまざまな影響力のあるメカニズムにより動かされているように見える─そして人的影響力は地球の軌道、太陽の変動性、および自然のサイクルなどの長期的変化を含む総合的な流れの中で評価されるべきである。しかしながら、これらすべてのデータが考慮される時、環境モデルの予測は大きく間違っているとは言えず、我々が地球を温暖化させているという証拠が増えつつある。強制的な社会の関わりとして、真摯な政策の方向の上に、なお多くの重点が置かれている。

 

 

 

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