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世界的な石油価格あるいは石油需要に何が起こるかは誰も予測できない。世界の石油生産は1997年において1日当たり6,500万バレルという記録的な水準に達しており、世界の需要は1年で2%以上の伸びを示している。米国人は外国の石油を購入するために毎分10万ドルを支出し、米国の運輸部門は世界の石油の10%以上を消費している。自動車と小型トラックを含む乗用車による石油の消費量は、米国国内のすべての石油生産量を超えている。化石燃料の埋蔵量は巨大だが有限であり、世界の原油生産は21世紀初頭にピークを迎えることを示唆する証拠が増えている。エネルギー情報局は、石油に対する世界の需要は2020年までに60%増加すると予測している。中東のOPEC(石油輸出国機構)諸国は予測困難でしばしば不安定とみられているが、2010年までに世界の石油ビジネスの50%以上を占め、石油生産が成長から後退へと転換することで経済的、政治的な緊張が高まるだろう。余剰石油生産能力は今後10年間にわたり減少し始め、石油価格は上昇することが予想され、運輸部門はこの変動による影響を最も強く受けるだろう。世界的に、運輸はほとんどすべて石油に依存しており、近い将来他の燃料がこれに取って代わる見込みはほとんどない。

生産され、配送され、そして自動車で消費されるガソリンの1ガロン毎にほぼ25ポンドの 二酸化炭素が放出されている。

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釣り鐘型の曲線で予測されているように、米国48州の石油生産は1970年代で頭打ちとなった。世界の石油生産も同様の予測がなされている。

(提供:Science, 281号,1998年8月21日、1128頁;C.Campbell & J.Laherrere)

 

 

 

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