日本財団 図書館


これらは米国における重要な進歩であるが、─今なお米国人の4人にひとりが不健康な空気を吸っている。他の諸国では状況はさらにひどい。メキシコ・シティー、アテネ、および上海などの都市には米国で見られるのと同じような厳しい排出基準がない。そして都市汚染の最大の元凶が運輸である。世界的にみれば、都市区域に住む10億人以上の人々が深刻な大気汚染に苦しみ、世界銀行によれば毎年70万人以上が死亡している。

環境保護庁(EPA)の推定では、米国の自動車は今なお下記の原因となっていることが示されている。

・すべての一酸化炭素の排出の78%

・窒素酸化物の排出の45%

・揮発性有機成分の37%

より低いエミッションのガソリン自動車の効果は、各自動車の走行距離の増大と同様、投入される自動車の数とサイズの増大で相殺されてしまう。欧州諸国が1ガロン当たり$2.50の燃料税を払っているのに対して、米国人が1ガロン当たりに払う燃料税は約$.36である。低いガソリン価格は燃料の効率や保存を促進しない。逆に、スポーツ用自動車のマーケットシェアは上昇傾向にあり、今や乗用車のシェアを凌いでいる。たとえこれらのより大型の自動車が、よりクリーンなエミッションであるとしても、エネルギーの使用量と二酸化炭素の排出は増え続けるだろう。もし最近の傾向がこのまま続くとしたら、米国人は2015年には現在我々が走行している距離の2倍を走行するようになるだろう。よりクリーンな運輸手段の研究の継続と並び、道路上の車の台数を減らし、渋滞を最小限とし、遠距離通勤に公共交通機関の利用を促進する政策を進めることが重要であろう。

 

石油備蓄、運輸と燃料電池

 

1985年以降、エネルギーの使用は以下の通り上昇

・ラテン・アメリカで40%

・アフリカで40%

・アジアで50%

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION