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理想的な燃料電池電圧の誘導式

燃料電池プロセスからの最大利用可能電圧の推定は、プロセスにおける反応物の最初の状態(H2+1/2O2)と最後の状態(H2O)の間のエネルギー差で評価される。そのような評価は化学プロセスにおける状態の熱力学的関数、主に“ギブス”の自由エネルギーに依存している。特定の温度および圧力での水素/空気燃料電池反応(H2+1/2O2→H2O)に対する最大電池電圧(△E)は、△Gが反応に対するギブスの自由エネルギー変化、nが水素1モル当たりの反応に含まれる電子のモル数、およびFが電子1モル当たりで運ばれる電荷である“ファラデー”定数、96,487クーロン(ジュール/ボルト)とした場合、[△E=-△G/nF]で計算される。

1気圧一定の圧力において、燃料電池プロセス(水素1モル当たり)におけるギブスの自由エネルギー変化は、反応温度(T)、およびエンタルピー変化(△H)とエントロピー変化(△S)から計算される。

△G=△H-T△S

=-285,800J─(298K)(-163.2J/K)

=-237,200J

1気圧および摂氏25度(298K)における水素/空気燃料電池に関して、電池電圧は1.23ボルトである。

△E=-△G/nF

=-(-27,200J/2x96,487J/V)

=1.23V

温度が室温から稼動している燃料電池の温度(80℃あるいは353K)に上昇する時、△Hと△Sの値はほんのわずか変化するだけであるが、Tは55度まで変化する。このため△Gの絶対値は減少する。良好な推測のため、△Hと△Sの値が変化しないと仮定すれば

△G=-285,800J/mol―(353K)(-163.2J/mol K)

=-228,200J/mol

この結果、最大電池電圧も(1気圧の標準的な例で)25℃での1.23Vから摂氏80度での1.18Vへと同様に低下する。

△E=-(-228,200J/2x96.487J/V)

=1.18V

純酸素の代わりに空気を使い、乾燥ガスの代わりに湿り気を与えた空気と水素を使ってさらに修正を加えると、水素/空気燃料電池から得られる最大電圧は摂氏80度および1気圧において1.16Vへとさらに低下する。

 

 

 

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