稼動中の燃料電池における熱発生の速度
100cm2の燃料電池が1気圧、80℃、0.7Vという典型的な条件のもとで稼動し、lcm2当たり0.6Aの電流、合計で60Aの電流を発生していると仮定すると:
熱による出力=発生した総出力-電力
Pheat=Ptotal-Pelectrical
=(VidealxIcell)-(VcellxIcell)
=(Videal-Icell)xIcell
=(1.16V-0.7V)x60A
=0.46Vx60クーロン/秒x60秒/分
=1650J/分
この電池は稼動1分毎に約1.7KJの余剰熱を発生しているのに対し、1分毎に約2.5KJの電気エネルギーを発生している。
ポリマー電解質膜燃料電池スタック
燃料電池は、100%以下の効率でしか稼動しないので、1個の電池からの電圧出力は1.16V以下である。ほとんどの機器はこれよりずっと高い電圧を必要とするため(たとえば、有効な業務用電気モーターは通常200-300ボルトで稼動する)、必要とされる電圧は燃料電池の「スタック(積層)」を作るために個々の燃料電池を並べてつなげることにより得られる。燃料電池が単純に次々と並べられたら、陽極と陰極の電流コレクタは隣り同士になるだろう。スタックの総容積と重量を減らすために、2つの電流コレクタの代わりに、そのプレートの両側にフロー面をカットした、ただ1個のプレートが使用される。「2極式プレート」と呼ばれるこのタイプのプレートは、一方の側に水素ガスを運び、他の側に空気を運ぶように作られた単一のプレートで、ひとつの燃料電池を他の燃料電池から分離している。2極式プレートはガスを通さない材質で作られていることが重要である。他方、2つのガスは混合し燃料の直接酸化へと進む。ガスの分離がなければ電子は水素から酸素へと直接到達し、これらの電子は有用な電気的作業をするために外部回路を経由することができないため、事実上「浪費」される。2極式プレートの一方の陽極で作られた電子がその反対側の陰極に入るプレートを通じて伝導されるため、2極式プレートは電気的に導体である必要がある。電池スタックの各末端にある2つの末端プレートは外部回路を経由して連結されている。