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膜/電解質部品

 

陽極/膜/陰極の組み合わせは膜/電極部品と呼ばれている。ポリマー電解質膜燃料電池の膜/電極部品の進化は数世代を経過した。最初の膜/電極部品は1960年代にジェミニ宇宙計画のために製作され、膜部分には1平方cm当たり4mgの白金が使用された(4mg/cm2)。現在の技術はメーカーによりさまざまであるが、白金の総量は当初の4mg/cm2から約0.5mg/cm2へと減少した。研究室での実験では現在0.15mg/cm2の量の白金を使用している。このことは、生み出される電流のアンペアで測定した場合、ジェミニ計画の1mgの白金当たり約0.5アンペアから15アンペアヘと燃料電池の効率が改善していることに対応している。

膜/電極部品における膜の厚さは膜の種類により変えることができる。触媒層の厚さは、各電極にどれだけ多くの白金が使用されているかにかかっている。約0.15mg/cm2の白金を含む触媒層では触媒層の厚さは10ミクロンほどで、1枚の紙の厚さの半分より薄い。全体の厚さが約200ミクロンあるいは0.2mmのこの膜/電極部品が、膜/電極部品の各1cm2に対し陰極と陽極の間の0.7ボルトの電圧で電流のアンペアの半分以上を集めることができるということは驚くべきことだが、これはうまく作られた部品─背面層、フロー面および電流コレクターの中に収められた時だけである。

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膜/電解質部品

将来の可能性

膜/電極部品(MEA)製造の最適化が進められている。触媒層/膜の界面に関する基礎研究が、電流の発生を含んだプロセスの更なる理解のために必要とされる。燃料電池の効率を高めるであろう新しい膜/電解質部品が必要とされる。相変わらず膜/電極部品の科学と技術が相互に関係している;理解が進めばより良い膜/電極部品のデザインにつながるのか、あるいは異なったデザインが理解の改善につながるのかどうか、未解決のままである。

 

 

 

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