日本財団 図書館


陰極を通る空気の流れが遅すぎる場合、空気は陰極で作られたすべての水を燃料電池から運び去ることができず、陰極の「洪水」に至る。水は陰極の触媒部に到達するために、多くの液体の水で十分な酸素を浸透させることができないため、電池の効率が損なわれる。

将来の可能性

・ 陽極の白金触媒表面に接続する水素燃料供給パイプの中にしばしば不純物が存在し、白金触媒を塞ぐことで水素の酸化を妨げる。不純物に影響されず水素を酸化できる代替触媒が電池の効率を上げるために必要とされる。

・ 空気電極での酸素還元プロセスの速度は、今日開発されている最高の触媒でさえ非常に遅く、効率を大きく損なっている。酸素還元の速度を速める代替触媒が、燃料電池の効率をさらに高めるために必要とされる。

・ 将来の代替触媒は電池のコストを下げるために白金より安価である必要がある。

 

膜/電極部品の組立

 

膜/電極部品の製造は、非常にさまざまであるが、以下の工程は燃料電池の研究が活発に行なわれているロス・アラモス国立研究所で使用されているものの中のひとつである。触媒の材料は適当な量の触媒(炭素の上に撒かれた白金粉末)とアルコールに溶かした膜の材料の溶液とを十分に混合した液体「インク」の形態でまず準備される。インクが用意されたら、それはいくつかの異なった方法で固体膜の表面に塗布される。最も簡単な方法として、乾いた固体の膜片の上に直接触媒「インク」を塗る方法が含まれる。濡れた触媒層と膜は触媒層が乾くまで暖められる。その膜はそれから裏返しにされ、その工程が反対側で繰り返される。触媒層はここで膜の両側にできる。乾いた膜/電極部品は次に、膜が燃料電池の稼動に必要とされる水素イオンの形態であることを確実なものとするために、軽く沸騰させた希釈酸性溶液の中に浸すことにより再び水和される。最後の段階は蒸留水の中での完全にすすぐことである。こうして膜/電極部品を燃料電池のハードウエアに組み込む準備ができる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION