なぜ燃料電池の触媒は「白金」になったのか
両電極で発生する反応は白金触媒の表面でのみ高速に起こる。白金は電極のプロセスを促進するために、必要に応じて水素と酸素の中間体を付着させる際に有効に反応し、また最終生産物を作るために中間体を効果的に解放することができるなど独特のものである。たとえば、陽極のプロセスは水素分子が反応する時に白金面に水素原子を付着することを要求し、これらの白金面は次にその水素原子をH++e-として解放する。
H2+2Pt → 2Pt-H
2Pt-H → 2Pt+2H++2e-
この際、弱すぎず強すぎずという最適化されため水素原子への付着が求められ、そしてこのことは優れた触媒の独特の性質である。ポリマー電解質膜燃料電池のための最高の触媒が高価であることに鑑み、白金触媒のレベルを下げる努力が現在行われている。これを達成するための最善の方法のひとつが、表面積を可能な限り広くした触媒層を作ることである。各電極は非常に微細な白金粒子を付着させた多孔性炭素(C)からできている。電極はかなりの多孔性のため、ガスは触媒に到達するために各電極を通って拡散することができる。白金と炭素は電子をよく通すため電子は電極を通って自由に動くことができる。白金分子が直径約2ナノメーターという小さなサイズのため、白金の表面積は極めて大きなものとなり、ガス分子に近づきやすくなる。使用される白金の総量がたとえ少なかったとしても、この多数の小さな粒子により提供される全体の表面積は極めて大きい。この大きな白金の表面領域において、電極の反応は多くの白金の表面で同時に進行することが可能になる。この触媒の大きな広がりは燃料電池の中の十分な電子の流れ、すなわち電流を集めるためのひとつの鍵である。