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将来の可能性

ポリマー電解質膜燃料電池は水が液体の状態にある温度範囲に制限される。膜は水素イオンが膜の中で電荷を運ぶことができるように水を含む必要がある。摂氏100度を超える温度でポリマー電解質膜燃料電池を稼動させることは、圧縮した状況で可能であり、水を液体状に維持することが要求される。しかしこれにより電池の寿命が短くなる。現在、ポリマー電解質膜は平方1フィート当たり約100ドルである。ポリマー電解質膜燃料電池の消費需要が伸びるにつれ、このコストは大幅に削減できる。

残されている課題

・液体の水の温度範囲に制限されない膜の製造。おそらく陽子の伝導に関する別のメカニズムに基づく。

・異なった膜の化学物質を開発することにより膜のコストを減らす。

 

ポリマー電解質膜燃料電池

 

10年ほど前、燃料電池を出力とする自動車は、事実より空想科学的に思われた。今日、運輸のための燃料電池技術の開発はポリマー電解質膜燃料電池により可能となっている。このタイプの燃料電池はまた陽子交換膜燃料電池、固体ポリマー電解質(SPETM)燃料電池および簡単にポリマー電解質燃料電池としても知られている。これはしばしば“PRM”燃料電池と省略される。燃料電池の中心部はポリマー電解質膜である。燃料電池の5つの形式のすべてにとって、燃料電池の種類を区別するのは電解質であり、ポリマー電解質膜燃料電池の議論は論理的にはその電解質、つまり膜に関して始めるべきである。

ポリマー電解質膜

通常の電解質は水の溶解物に電気を通しそれにより水中の陽イオンと陰イオンに分離する物質である。ポリマー電解質膜燃料電池の中の電解質はプラスチックの1種、ポリマーであり、膜と通常呼ばれている。電解質の形はメーカーによりさまざまだが、最も普及している膜は、DuPont社製のNafionTMであり、食品の包装に使われるプラスチック・ラップに似ている。通常、膜の材質は普通のプラスチック・ラップより丈夫で、厚さは50〜170ミクロンの範囲である。

 

 

 

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