4.4 最近の米国における燃料電池自動車に関する動向
米国ワシントンDCを訪問する機会があったので、限られた範囲ではあるが、米国における燃料電池自動車の技術動向に関する調査を行った。
調査訪問先は、ジョージタウン大学、米国運輸省(DOT)・道路交通安全局(NHTSA)、米国運輸省・連邦公共輸送局(FTA)及び米国エネルギー省(DOE)先進自動車技術室である。短い時間であったが、最近の米国における燃料電池自動車の技術動向に関する貴重な情報が得られたと考えられるので、以下に概要を報告する。
なお、ジョージタウン大学の燃料電池バスプロジェクトに関しては、一般的に公開されている情報に関しては第2章でも紹介したので合わせて参照されたい。
4.4.1 ジョージタウン大学
/訪問日時/
平成12年3月6日(月)9時〜17時30分
/場所/
2115 Wisconsin Avenue Suite 602 Washington D.C. 20007
/応対者/
Mr. James T. Larkins
ジョージタウン大学(GU)燃料電池バスプログラムマネージャー
Mr. Robert R. Wimmer
ジョージタウン大学(GU)燃料電池バスプログラムマネージヤー技術担当
Mr. Gregory A. Dolan
アメリカメタノール協会(AMI)副会長
/調査概要/
1] ジョージタウン大学(GU)での燃料電池バスプロジェクトについて
・ 当初は、GUのエネルギーグループが大学のプロジェクトとして定置式の燃料電池(リン酸型)の開発を始めた。GUは医学部があるが、文化系の大学であり理系はない。従ってこのプロジェクトには学生は参加していない。Larkins氏やWimmer氏は大学の先生ではなく、新しいエネルギーシステムの導入の検討を行っているGUのエネルギーグループに属している。現在、このプロジェクトは両氏を含め5人で運営されている。
・ 1983年からからDOE、DOTと共同で、都市内輸送バス(燃料電池)の開発を行っており、1989年にメタノールを用いたリン酸型燃料電池の開発を行った。その後、大きく分けると、30フィートバス(50kWりん酸型燃料電池、試験用)、40フィートバス(100kWりん酸型燃料電池、生産用プロトタイプ)、40フィートバス(100kWPEM型燃料電池、生産用PEMプロトタイプ)の三種類のタイプのバスの開発を行ってきた。その中で、GUは、研究そのものより商品化するのに必要なデータを提供することを主眼としている。
・ 30フィートバスのプロジェクトに対する政府関係の出資比率は、DOE50%、DOT35%、カリフォルニア州大気資源管理局(SCAQMD)15%とのことであった。
2] ジョージタウン大学での燃料電池バスのプロジェクトの結果について次に、各バスのプロジェクトの主要結果を表にしてまとめる。また、合わせてプロジェクトの特徴的な知見等も記した。