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駆動システムについて

駆動システムの方式は、二次電池等の補助電源を備えた燃料電池とのハイブリッド方式と燃料電池単体で駆動する方式にほぼ二分される。

ハイブリッド方式は、制動エネルギーの回生が可能となり、燃料電池起動時の出力補助として利用できるメリットがある一方、動力システムや制御方法が複雑となり、二次電源等による重量増加、コスト増加が課題になる。燃料電池単体の駆動方式は、システムがシンプルになり、コストが抑えられるというメリットがあるが、一方では、負荷変動に対する応答性確保さらに燃料電池容量が大きくなることによるコスト、スペースが課題になる。今後、車両の使用目的、コスト、要求性能などにより最適化されていくものと推定される。

駆動モーターは、乗用車では交流同期式が主流になりつつある。さらに、永久磁石同期モーターから永久磁石を取り除いた構造である、低価格なリラクタンスモーターを使用している例も出てきている。

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図 2-1-3開発例における燃料電池自動車最高速度

 

燃料電池自動車の性能

乗用車では、最高時速が約100〜145km/hであり、航続距離も400kmを越えて、ほぼ実用域に達しているものと考えられる。大型バスに関しても、最高時速100km/h、航続距離400km程度の車両が開発されており、ほぼ実用域に達している。図2-1-3に、公表されている開発例に関して、燃料電池出力と最高速度の関係を示した。

図2-1-4は、開発例における燃料電池自動車のエネルギー搭裁量(燃料搭裁量)と走行距離の関係を表した。横軸は燃料の持つエネルギー量(kcal)とそれぞれの燃料の搭載量を示した。公表されている資料には、走行距離の表し方が異なる場合もあり、また車両重量の差異もあることから、一概には言えないが、現状では乗用車の範囲で見ると、航続距離に関しては液体水素が優れ、次にメタノール、次いで水素吸蔵合金と圧縮水素がほぼ同等の傾向が出ている。

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図2-1-4 搭載エネルギー量と走行距離

 

 

 

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