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2.1.2 燃料電池自動車の開発の現状

燃料電池自動車の開発動向

世界の燃料電池自動車の開発年は、図2-1-1に示した燃料電池スタックの技術革新に呼応するように1997年以降急速に進んでいる。これまでの開発例の割合を図2-1-2に示す。開発対象車種は、乗用車(バンを含む)とバスが圧倒的に多い。世界の主要な自動車メーカーはほとんど開発を行っており、燃料電池自動車が今後の有力な開発ターゲットになっていることがわかる。しかしながら、中、大型の商用トラック分野での開発例はない。

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図2-1-1 これまでの燃料電池自動車開発例割合

 

燃料電池について

燃料電池に関しては、圧倒的に固体高分子膜型燃料電池(PEFC=PEM型)が多い。カナダのバラード社のPEFCを使っている例が多い。アルカリ型、りん酸型も開発例はあるが、性能、コンパクト性などからPEFCが主流になっている。燃料電池出力は、最大で、乗用車の場合75kW(約102PS)、バスの場合205kW(約279PS)である。

なお、ダイレクトメタノール型(直接型)は米国NASAジェット推進研究所(JPL)などで研究中である。まだ車両に搭載された実績はないが、今後の実用化が期待されている。また、固体酸化物型燃料電池(SOFC)の研究も行われている。BMWはDelphi Automotive Systemsと共同で、開発期間5年間でSOFCエンジンを作ることを発表している。2000年にも第1次プロトタイプを製作することとしている。2-1-4)トヨタも燃料電池自動車用SOFCの開発に着手した。触媒電極上に化学的蒸着や物理的蒸着法で導電性セラミックスを生成することで高性能SOFCを目指すという。2-1-5)

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図2-1-2 使用燃料電池例割合

 

 

 

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