30. しかしながら、大陸棚の画定のための規定は1970年代初期以来実質的な改訂が行こなわれてきた。これらの改訂は、海洋法における2つの重要な進展、第1に海洋法条約を通じて新しい大陸棚の定義の出現、第2に海洋と同様を海底をこの距離までカバーする200マイル排他的経済水域制度の設立から発したものである。
現在、200マイルは殆どの場合、大陸棚の法的根拠であり、それ以上の距離では地質学的あるいは地殻形態学的要素のみが関連する。
31. 沿岸諸国間の距離が400マイルを超えない東シナ海では、従って、沖縄トラフのような地球物理学上の海底の形態は現代の国際法の下での境界線画定に影響を与えない。
VI 結論
32. 以上が北東アジアにおける海洋の境界線画定に関するいくつかの重要な問題についての簡単な法的検討である。
大陸棚についての新しい定義及びEEZ制度の設立によって、沖縄トラフのような海底の地形が自然の境界線を構成するという主張は、もはや論争に耐えられないことと示唆している。
地質学上あるいは地殻形態学上の考慮の重要性が低下したのに対し、この場合の地勢の重要性は増大したように見える。従って、指摘したように海岸線の長さの相違は(境界線)画定に反映されるべきである。
係争中の島々は、その小さな面積及びその争われている資格と併せて、広範な地理的背景の中で検討されるべきである。これらの要因は、これら小島に対して、この地域における境界線画定の針路に影響を及ぼすことを困難にしているようである。
33. これまで述べた法的検討はさて置き、北東アジア地域の情勢の複雑性から見て、沿岸諸国は境界線画定のような管轄権主体のアプローチより、むしろ機能を主体としたアプローチの方を好むであろう。
従って、地域諸国はその下に隠された主権及び境界線の問題に背伸びすることなしに、急がれる環境保護及び資源開発の問題の解決の方へひかれることとなろう。
一例として、沿岸諸国は、漁業問題を保全及び有効な執行手続きのため協同政策を推進することを主張するであろう。また、沿岸諸国は、海底鉱物資源の開発に関する協力協定を作り上げるであろう。そのような協定は、その下にある領土や海洋の境界線問題についての先入観なしに成立させ得るので、沿岸諸国は、漠然とした将来に対するより政治的な問題とは別の最適の解決策を見出すかも知れない。
沿岸諸国間に非常に微妙な政治関係があるとしても、そのようなアプローチの方がより建設的であろう。(完)
(訳者註:9.は原本に記載なし)