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第3のアプローチは合理的アプローチかも知れないが、他の2つのアプローチと同じように、重要なファクターを欠いている。

境界線に関して係争中の島々の効力に関するいかなる議論においても、係争中の島の資格(status)は地勢や人口といった特性と同様に決して無視してはならないようである。19

 

27. 尖閣列島あるいは独島が、それら自体のEEZあるいは大陸棚を発生するか否かを決めることは極めて難しい。

尖閣列島の場合、その比較的大きな面積、真水及び高価な薬草の存在及びかってかなりの期間人間が居住したという事実22からして、同列島は121条(3)項23の規定する人間の居住あるいはそれ自身の経済生活を維持できない岩の1つであるとは分類できないであろう。他方、自然の状態を考慮すれば24、独島はそれ自体のEEZあるいは大陸棚を発生しないであろう。

 

28. しかしながら、係争中の島々もそれ自体大陸棚を持っとする研究結果では、隣接国との境界線画定に際し、それらの島々には完全な効力が与えられるべきであるとする主張するが、その主張とは遠くかけ離れたものである。

逆に、前述の地理的な周辺状況及び係争中の資格の関連に照らしてみて、境界線画定に際し、ことの次第でも不公正を生み出すおそれがないことを客観的な第3者が否定するであろうことは想像に難くない。

このケースは、将に「小島、岩、小型の沿岸突起物」のケースのようであり、これらの不つり合いな曲解による効力は、ある地域の平等な分割に際しては排除されるべきである。25

2国間のおおむね中間という微妙な位置は、これらの島々に与えられる効力が境界線の全体の方向づけに実質的に影響を与えることを意味する。

即ち、両国の沿岸からはるかに離れたそのような位置、安全保障上の目的以外には何もない無人の小島及びその領有権問題26は、これらの小島がただ領海を連ねるベルトとして置いておかれていることに疑いを容れない。27

 

V 地殼形態学的/地質学的考察

 

29. 自然の延長部分が大陸棚の画定のため基本ルールであったために、かっては、海底の地理的特性は大陸棚の境界線画定上重要な考慮事項であった。東シナ海では、特に日本領土の自然の延長部分が終わると申立てられている沖縄トラフが存在するため、自然の延長原則が適用できるか否かが境界線を画定する上で重要なファクターの1つである。

 

 

 

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