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黄海と東海の沿岸から沿岸までの距離はどこでも400マイルを越えない程度であるため、境界設定は避けられない。これらの地域での境界設定が厄介な理由は二つある。題意一に、非常に困難な領土紛争が複数あることである。例えば、東シナ海の釣魚台/尖閣諸島(中国と日本が領有権を主張)、竹島(韓国と日本が領有権を主張)などがある。こうした解決の見込みが非常に薄い領土紛争が解決されないかぎり、境界は設定できないのである。

第二に、特に黄海と東シナ海に関連したことについて考慮する必要がある。これらの地域では1969年以来大陸棚の境界をめぐる紛争が存在するからである。こうした領土紛争の原因の本質は、境界設定に関して国際法のどの原則を適用するかについて関係諸国の間に不一致があること、および問題となっている海底の地理的性質に見い出されるであろう。例えば、中国と韓国は天然延長を東シナ海に適用すべきで、したがって日本の領土の天然延長を無効にすると言われる沖縄トラフは日本と中国・韓国の間の自然領海を成すべきだ、と主張してきた。しかし、日本は沖縄トラフは自国の領土に対して天然の制限を形成してしまうと反論し、等距離原則の適用を主張してきたのである。

排他的経済水域概念の登場は、同地域の大陸棚境界の紛争に、かなり実質的な影響を及ぼす可能性がある。排他的経済水域という概念は、200マイルの距離にのみ基づいており、海底から大陸棚まで含んでいるからである。残念ながら、今までのところ石油やガスなどは発見されていないが、この地域の沿岸諸国は今でも関心を持っている。したがって、これら諸国の境界設定問題に対する立場は排他的経済水域の導入によって損なわれる可能性があり、同水域の導入に対してこれら諸国は消極的だったのである。大陸棚と排他的経済水域の両方に単一の境界を設けようという傾向が圧倒的に強かったため、これらの諸国が排他的経済水域導入には消極的だったことも明らかである。

沿岸諸国は200海里水域宣言に対する消極的態度の理由を明らかにしてはいない。しかし、その理由は特に海洋における境界設定の難しさにあると思われる。海底資源の存在が証明されない限り境界問題は大概仮説的である大陸棚の場合とは異なり、排他的経済水域の設立にはどうしても境界問題が伴う。海洋生物資源の性質からして、排他的経済水域の境界問題は実在的なものであり、境界設定を行わなければ効果的な水域管理は不可能であろう。さらに、万が一沿岸諸国の一カ国でも排他的経済水域の設立を決定すれば、他国がこれに即座に追随する可能性はかなり高い。このことが、沿岸諸国の自国水域拡張に対する過剰とも言える程慎重な態度の原因となってきたのである。

 

漁業保全・管理

 

沿岸諸国の排他的経済水域設立に対する消極的態度の第二の理由は、排他的経済水域が実際に同地域海洋における漁業の有効な保全・管理のよりよい代替策となるかどうかという問題と関連している。

 

 

 

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