中東和平プロセスの結果、最近の海上におけるCBMsの進展には目覚しい(あまり公表はされないが)ものがあった。即ち多国間の中東和平プロセスの一環として、軍備管理及び地域安全保障に関する作業グループが設立されたことである。この作業グループの中で、特にカナダが、(1)地域のINCSEA協定及び(2)地域のための洋上捜索救難(SAR)取極めという2つのイニシアチブを求めて海上におけるCBMsを発展させるための先導役を務めることに同意した。1993年9月、ノバスコシアのシドニーにあるカナダ沿海警備隊大学校にアラブ、イスラエル及びパレスチナの海上要員が参加してのワークショップ(中東和平プロセスの共同スポンサーである米国とロシアの下、カナダの教官による支援を受けた)によって進捗が始まった。INCSEA協定及び地域SAR取極めについては、いずれも望ましく、また達成可能であるという合意が存在した。第2回のワークショップは、地域の海軍士官のために1994年3月トルコのアンタリヤで開かれ、次いで1994年7月イタリアのベニスで米国、カナダ及びイタリア海軍によるINCSEA及び海上におけるSAR展示が実施された。その際力ナダは、中東の海軍のリーダーのために1994年8月29日-9月1日の間、ノバスコシアのハリファクスで開かれた最初の高級士官シンポジウムスポンサーとなり、各国代表は、中東地域の海洋の安全保障についての認識をそれぞれ発表した。1994年11月死海のヨルダン沿岸で開かれた会議における更につっこんだ討議を経て、地域多国間INCSEA書簡(公式の履行/受入れ条項より低い)及びSAR枠組が合意された。1994年12月、チュニスにおける中東和平プロセスの本会議でINCSEA書簡及びSAR枠組の地域での実施(現在、カナダの引き続いての先導役で進行中)が承認された。アフブ・イスラエル紛争の激しい政治的な浮き沈みに対する中東和平プロセス協定すべてが相変わらず脆弱であるにもかかわらず、モロッコからクェイトに至る広大な地域における海洋協力の枠組の設立の成果は最近目覚しいものがある(*3)。
アジア太平洋地域
全体として見た場合アジア太平洋地域は、急速に増大しつつある海上兵力と権益に対して最低限の海上におけるCBMs発展の場として最も興味をそそる地域である。