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海上における事故防止協定と信頼醸成措置

 

Incidents at Sea Agreements and Maritime Confidence-Building Measures

 

スタンレー・ウィークス(米国SAIC)

Stanly B. Weeks

 

まえがき

 

海洋における信頼醸成措置(CBM's)(*1)が今後地域の安定に果たす役割は次第に増大しつつある。従来の主要な海洋におけるCBMは、2国間の海上における事故防止(INCSEA)協定であり、それらは公海上での海軍兵力による危険な行動を回避することに焦点が置かれている。以下に示すように、lNCSEA協定は、2国間及び次第に増えつつある多国間の地域あるいはサブ地域という条件下で依然としてかなり有効である。しかしながら、冷戦後の海上における安全保障の環境は、INCSEA協定を超越して、公開性及び透明性を高めるためのさまざまな方法を含めより広い範囲にわたる海上の問題における各国間の協力を必要としている。冷戦の終結はこれまでの最も深刻で唯一の海上における衝突(米ソ両国海軍間)の危険が取除かれた後にもかかわらず、地域勢力(特にアジア太平洋地域が最も顕著)が次第により広域の強力な海上防衛能力を整備するに伴って、新しい海洋の安全保障上の懸念が次第に明らかになってきた。この海軍の近代化はいくつかの要因によって拍車がかけられてきた。それらの要因とは、安定力としての米海軍のプレゼンスの削減と撤退可能性についての懸念、将来、地域大国となるかも知れない米国以外の諸国(例えば日本、中国、インド)の海軍の潜在能力、多くの小国(例えば東南アジア)における大国内反乱分子の問題についての関心の低下、そしておそらく最も重要なことは1994年11月に1982年国連海洋法条約(UNCLOS III)が発効したことである。

 

 

 

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