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「マルチ」は「バイ」を補完するが代替しえないこと

 

1972年に米ソ間で「事故防止に関する協定」が成立し、その後1ダース以上の「協定」が誕生したことは先に述べた。

これまでに、われわれは海上における事故を局限するためには、いくつもの補完的アプローチが必要だということを学んだ。

さらに、2ヵ国で締結された協定こそが、多国間の協定に健全な基礎を与えるということも明らかになった。多国間の「協定」はあくまでも2ヵ国間の「協定」を補完するものである点、すなわち「マルチ」は「バイ」を補完するが代替しえないことを学んだ。

 

CSCAP海洋協力作業グループの役割

 

太平洋で議論の場を提供し、指導力を発揮すべきはCSCAP海洋協力作業グループである。そして、協定は地域特有の問題(たとえば麻薬対策協力)などの地域のニーズに合致した分野から取り決めるのが建設的なやりかたである。そしてさまざまなシンポジウムの規定がそこに盛り込まれるのが好ましいやりかたであろう。

そこではバイとマルチ行動の柔軟な組み合わせが求められる。また、地域を超えた会議が重要であることもわかってきた。95年にインドの主催で「インド洋」地域と「東南アジア」地域の艦艇と指導者による海軍会議が実施されたが、これは地域を超えた交換の需要性を参加者の胸に深く刻みつけた。

しかしながら、われわれのやり方には「野心的過ぎる」との反発も強い。新しいやり方が否認される前に先手を打つ必要があり、中東地域での斬新な試みとその成功をアジアに持ち込むという発想も求められる。(了)

 

 

 

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