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去年1年間でじつに285隻の船が海賊に襲われ、うち27隻は日本船なのだ。その数は年々増加し、より凶悪化している。過去の海賊事件から意外な側面が見えてきた。このデータベースの中にアロンドラレインボー号と瓜二つの事件があったのだ。】

 

<スタジオ>

 

島田アナ 単なる海賊と言い切れませんよね。作戦、戦争ですよね。

宮田アナ 用意周到ですよね。

島田アナ そして、最後にこのデマを流しておいて、そして船を乗り換えて、操舵する人員も別にいるという、何か本当にすごい組織ですね。

島ディレクター これは相当大規模な組織だと思います。もう輸送部隊から全てバラバラにいまして、何人いるのか私たちも数えきれないほどの組織ですから。

島田アナ もういちど事件経過を教えてもらえますか。

島 10月22日なんですけれども、この日の夜、8時10分にインドネシアのクアラタンジュン港を出航したわけですけれども、この時点ですでにアロンドラレインボー号の船内には海賊が潜んでいたと思われます。そして、海賊の司令船は近くの場所から、ほぼ5日前に出航して、これを待ち受けていた。そして、船員たちが船室に引きこもったのを知って、これを連絡通報を受けて、そしてスピードボートで近づいて襲撃したというかたちになります。その後、襲撃したあとに、いったんアロンドラレインボー号はマレーシアのミリに向かいます。そして、ミリで7000トンのアルミニウムインゴットのうち3000トンを別の輸送船に移し替えて、バンスン2号という名前ですけれども、移し替えて、そして、アロンドラレインボー号の船体の色と船名を変えます。そして今度は西に航路をとるわけです。今度は西に航路をとって、インド洋に入って、そしてインドのムンバイ沖で拿捕されます。

宮田アナ これは経過を見てみますと、日本の運行会社から海上保安庁に行方不明の連絡が入ったのが10月27日ですよね。これは襲撃があったときから、じつに5日間も経っているわけじゃないですか。なんでこんなに時間がかかったんでしょうか。

島 ええ。これはひとつは曜日を見ていただきたいんですけれども、金曜日なんです。襲われたのが金曜日の夜なものですから。土曜日、日曜日をはさんでいる。そして、その事故に気づくのが遅くなってしまったというのがひとつあります。

そして連絡がないからといって、すぐに海賊というふうに思わないわけですし、無線の故障もあるということで、遅くなってしまった。

もうひとつ重要な点は船にはイイパブといわれまして、SOSを送信する機械が積まれているんですね。ところが、海賊がのぼってきた時点で、その機械と通信機、それと衛星電話ですね、全て押さえられてしまって、もう連絡のしようがないという状況に追い込まれてしまったわけですね。

島田アナ はい。インドで逮捕された15人の中には二人、以前、海賊で捕まったことのある人物がいました。ゲーリーとプトラという、この人物です。この二人です。そしてシンジケートの幹部の直撃取材をわれわれは行ないました。この正体はどんなものでしょうか。ご覧ください。

 

<ビデオ>

 

【兵庫県、舛本汽船の持ち船テンユウ号は98年9月アルミインゴット3000トンを積んでアロンドラレインボー号と同じクアラタンジュン港を出航、その直後消息を絶ち、二ヶ月半後、中国の浙江省張家港で発見される。乗組員も積荷もいまだ行方不明。入れ替わっていた新しい乗組員に海賊の容疑がかけられたが、結局証拠不十分で釈放された。しかし、この容疑者の中に驚くべき人物がいた。[事件のリストが映し出される]左がテンユウ号事件の容疑者、右がアロンドラレインボー号事件。二つの名簿に同じ名前がある。インドネシア人、プトラ。

 

 

 

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