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もし沿岸諸国がこの機能を阻害する様なことになれば、特定の国家のヘゲモニー拡大を誘発することにも繋がり、地域の安定や経済発展に支障を来すことになる。そうなれば地域の沿岸諸国の国益にとって決してプラスになることはない。

沿岸諸国にとって、「200海里圏内の資源活用」や「海洋環境の保護」が重要であることは論を待たないが、それにも増して、地域の安定と経済発展を支えるシーレーンの機能を確保することが重要であることを理解してもらう様、啓蒙する必要がある。

 

次に地域における紛争が生起した場合について、この場合、周辺の海域における海上交通は大きな影響を受けることになり、先般の湾岸戦争時におけるペルシャ湾の様に機雷を使用される様な事態になれば、紛争終結後も周辺のシーレーンは長期間に亙って極めて重大な影響を受けることになる。

特に交通の錯綜する海域においてこの様な障害が生起した場合には、シーレーン全般に亙って極めて重大な影響を受けることになる。

 

最悪の事態として、何らかの原因でSea Denial Powerによる意図的な阻害が行なわれる場合、状況は極めて深刻である。Sea Denial Powerは事態の成り行きを見ながら海域や手段を主導権を持って能動的に選択できるわけであり、シーレーンは極めて脆弱な状態に曝されることになる。中でも神出鬼没の潜水艦や掃海困難な高性能機雷が使用される場合には、重大な心理的影響を伴うことになり、事態は極めて深刻となる。

この場合、物理的運航障害にもまして乗組員の乗船拒否等による二次的混乱も予測され、思わぬ混乱が世界的に拡大する可能性も否定出来ない。

この様な阻害が何れの海域で行なわれても重大な障害を受けるが、特に海上交通の錯綜するチョークポイントや港湾付近で行なわれ、我々が有効な対策を講じ得なかった場合には致命的な打撃を被る事になる。

 

この様な事態は事前に防止するのが最善であるが、そのためには常日頃から最悪の事態に対応出来る体勢を整えておくことが極めて重要であり、これが抑止に繋がると云うことを十分に認識しておく必要がある。

軍事的な対抗策を講ずることが基本となることは勿論であるが、上記の混乱を防止する為には、被害船舶の救助・各種保険・船員に対する被害補償等をも含め、ハード・ソフト両面の対策を講じておくことも必要である。

 

 

 

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