日本財団 図書館


今やシーレーンのどの部分に支障が生じても各国は必ず何らかの影響を受けざるを得ない状況にあり、21世紀には益々この相互連帯の絆は強くなることであろう。

この事は、域内各国の夫々の海軍力の整備や運用の分野にも今後何らかの影響を及ぼすことになるものと考えられる。

 

4 問題点

 

以上述べてきた様に、地域国家群の生存と繁栄に死活的に重要な役割を果たしているシーレーンであるが、船舶運航機能とターミナル機能及び重要国際航路を整備することにより比較的容易に縦横無尽の大容量交通網として活用出来る反面、外部からの障害も受けやすく極めて脆弱である。

謂わばこの動脈網は皮膚表面に露出した血管と同じ様な状態にあるこを我々は認識しなければならない。

シーレーンを阻害する要因としては次の様なものが考えられる。

 

(1) 海難・災害による障害

(2) 海賊による被害

(3) 一方的な宣言による海域の制約

(4) 地域紛争による障害

(5) Sea Denial Powerによる意図的阻害

(6) 海運システを巡る障害

 

海難や災害の発生は、直接・間接的にシーレーン活用に影響を及ぼすことになり、特に交通の錯綜する海域やターミナルにおいて発生し、その復旧作業が難航する場合には長期間に亙って重大な影響を与えることになる。

荒天による遭難、視界不良による衝突・座礁、自然災害による港湾機能の停止等の他主として人為的原因による火災・衝突・座礁等も含めて、日本周辺だけでも毎年数千件の事故が発生しており、決して無視出来ない状況にある。

 

科学技術の発達により我々は海洋を幅広く活用出来る様になったが、人間の欲しい儘に此をコントロールすることは出来ない。大自然の摂理のもとに、我々のコントロールの域を越えて存在するシーレーンの基本的な脆弱性を如何にして最小限に止めるか、今後我々が対策を検討すべき重要課題の一つである。

 

以下は殆ど人為的原因によって生起する問題点であるが、海賊による被害も軽視することは出来ない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION