船の安全は、最終的には、国際的な舞台で解決されるべき問題である。一方的な解決策は、高くつくことになるだろう。またそれは、それを課される受忍国にとって最も高くつく方策となるに違いない。
運航及び船員管理に関する基準
遵守の問題を別としても、基準それ自体に重大な欠陥が含まれている。海上事故の約85パーセントが、操舵訓練の不足や怠慢な労務管理といった人為的な過失から発生している。
船員のための基準は船の基準が存在する限り形成されるが、船の基準ほど慣例的なものではない。
当初は、船員基準は国際労働機関の規定であった。しかしながら、1978年の船員のための訓練基準、証書及び当直に関する国際条約の成立に伴い、国際海事機関は船員基準を発展させてきた。
港国は船員の操舵技術を頻繁に検査している。主要な問題は、船員の規模縮小や低下する能力に伴う不十分な訓練と貧弱な操舵技術にある。
最近、国際海事機関は、1978年の船員のための訓練基準、証書及び当直に関する国際条約の規定を大幅に改正した。これにより、技術的にも、また、他の分野においても最新の状態に更新された。
その結果、各国が、証書の基準を十分に満たす水準が維持される限り、それぞれのインフラや資源に応じた訓練協定を採択する余地が確保された。
つまり、能力の基準は、海上において特別な方法で達成されるというわけである。
この条約改定で、強制措置条項、国家間の整合性の欠如、船上手続き、及び、疲労、健康管理、船員相互の意思疎通といった人為的問題についても、改正がなされた。
しかし、国際海事社会が、それを実行する意志を持たない限り、この改正された条約も単なる紙切れとなってしまう。
現在は1978年の船員のための訓練基準、証書及び当直に関する国際条約の中に組み込まれている船の運行管理に関する国際協定は、多くのオーストラリア船主を含む船主に歓迎された。
しかしながら、不幸にして、他の船主にとっては管理大権に対する未公認の干渉と見なされたのである。