日本財団 図書館


・適切な船舶構造検査

・安全基準を維持するための規制情報の開示

・アジア太平洋地域における他国との共同協定への参加

である。

 

国際海事機関の最近の活動――承諾

 

もし、旗国がその義務を完全に履行したなら、港国が規制する余地はなくなるだろう。しかしながら、不幸にして、多くの国が偏狭な利害に固執し、最低限の監督だけで、義務を通商上の利害に委譲できるという態度をとっている。

こうした国々はそうすることが好都合な場合にだけ、国際的な基準を遵守するという傾向がある。

都合が悪い場合には、彼らは法を捻じ曲げ、規則に目を瞑(つぶ)るのである。

 

権限の委任それ自体は、なんら悪いものではない。1974年の海上における人名の安全のための国際条約でも、そのことは明白に容認されている。

例えば、オーストラリアは、安全構造証書発行の検査業務を(船舶等級を決定する)船級協会に委任している。

しかしながら、安全装備検査を船級協会に委任することはできない。

オーストラリア船が航海中で、装備検査のために母港することが不可能な場合には、オーストラリア海上保安庁は、適当な海外の監督官庁に代理検査を依頼する。

中には、すべての検査や監督を委任している旗国もある。実際、そうした国では、船籍国に多数の船が接近しないようにする以外の選択肢を持っていない。

船籍を示す旗は、ときとして、旗国にとって、高いクオリティを持った国際的な業務にコミットする通商国の象徴ではなく、むしろ収入源と見なされているのである。

 

しかしながら、1974年の海上における人名の安全のための国際条約は、当事国に検査監督が完全かつ有効に実施されることを求めている。

だが、多くの国の監督官庁がこの義務に対してリップ・サービスしか払っていない。

それゆえ、ここ数年、国際海事機関は加盟国が各種条約の義務を遵守するよう改善措置を勧告したのである。

不幸にして、この措置の実行は、現実には、きわめて困難である。いくつかの理由によって、多くの国の監督官庁が有効に機能していない、あるいは、実際に責任を果たしいないというのは悲しい現実である。

 

船舶所有者が基準に達しない船舶を安価に未熟な船員を使用し続けるなら、合衆国や英国、おそらくはオーストラリアのような国家が、一方的な措置を講ずることを検討するに違いない。それは遺憾な事態である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION