他の海洋条約にも同様の規定がある。
旗国の権利
国際海事機関の基準を満たす旗国の船舶は国際証書を運搬する権利を有している。この証書はきわめて重要である。
1974年の海上における人名の安全のための国際条約は、船舶が他の当事国の港にあるとき、当該国の政府職員の監督を受けることを規定しているが、この監督は、証書がこの条約に基づいて発給されていることを確認するためにとられる行為に限定されている。
同条約は、船舶またはその装備の状態が、実際には証書の記載に合致していないか、または、船舶及びその装備がこの条約に適合していないと信ずるに足る相当の理由のある場合を除き、この証書が有効である限り、受け入れられるべきことを規定している。
それゆえ、良好な状態にある船舶は、外国の港において、恣意的な規則に縛られる恐れなしに、通商が可能なのである。
港国の権利と責任
港国の検査官が、上述した信ずるに足る相当の理由を有している場合、1974年の海上における人名の安全のための国際条約に基づき、検査官は、当該船舶が、船舶や乗員への危険がなく、安全に出港できるようになるまで、航行を禁止しなければならない。
入港する船舶に対して、なぜ、こうした措置がとられるのだろうか。
海洋環境への不必要な危険を防止するためというのがその理由であることは明白である。しかしながら、オーストラリアでは、伝統的に、出港する船舶の船籍を問わず、等しくその安寧を保護すべく留意しているのである。
オーストラリア海上保安庁(AMSA)が設置された1991年以降、この傾向は特に強くなっている。オーストラリア海上保安庁が設置された直後、同庁の幹部職員は、人名、船舶、オーストラリア船の船荷、オーストラリアを出港した船舶の損失は認容できないとの基本綱領を採択した。
ここ数年、オーストラリア海上保安庁は、港の安全を維持向上させるために特別の努力を払ってきた。これには以下の措置が含まれる。すなわち、
・出入りが激しい港への監視員の追加配備、及び検査官の増員
・問題を抱えていると思われる船舶を特定できる確率を増大するための特別検査