国連海洋法条約第192条は海洋環境に関する一般的義務について定めている。すなわち、「いずれの国も、海洋環境を保護し及び保全する義務を有する」
第211条では、いずれの国も、権限のある国際機関を通じて海洋環境の汚染を防止すべきことが謳われている。事実上、この機関とは国際海事機関のことであり、「一般に受諾されている国際的基準」も国際海事機関の支援の下で採択されている。
以下の表は、旗国及び沿岸国の権利と義務について示している。
国際的な基準が形成された理由
権利と義務の衝突はどの程度、認識されたか。また、権限のある国際機関はその衝突をどのように調整するのか。
この点で記憶されている最初の出来事は、1958年のジュネーブ海洋法条約でも最近の国連海洋法条約の場でもない。そこでは、基本的にこの問題に関する新しいものはなんら示されなかった。
海洋における基本的な権利と義務は、国際慣習法として長年にわたって存在してきたのである。
もちろん、権利の主張とは、自己の利害の表明でもあり、それゆえ、理解しやすい。しかしながら、義務を自覚し、履行することは、より複雑である。
分別のある行為は倫理的確信から生まれ、強制を通じて達成され、形成される。
なぜなら、これだけが、他人に受け入れられる形で権利を行使できる唯一の道であるからだ。