3:竹島問題、尖閣問題についての質問
その点から、日本の抱える領有権問題である、竹島問題、尖閣問題について、次々と質問が出て来ました。
私どもが申し上げたのは、竹島問題と尖閣問題は性質が異なるという点です。
竹島は、日韓の共通国益のためには一時的にも保留という形で解決できるのではないか。ただ、尖閣は、日中に共通国益が見い出せないだめに、今後しっかり対応する必要があるということ、日本は尖閣を守る決意をはっきりと示さなければならないと申し上げました。
4:南シナ海に関する川村見解をプレゼンテーション
フィリピンに対する私なりの考え方を次のように申し上げました。
1) 中国はこの問題については、二国間の問題として片づけようとするだろう。ASEANとか多国間を相手には話に乗ろうとしない。かつて多国間の交渉で、いったん合意したものの、それを実行に移す段階で反古にしてしまったことがあった。
2) 中国はASEAN内の当事国を二国間問題に限定した上で一つひとつ打破していくといういわゆるディバイド・アンド・ルールの対応をとっている。中国を相手とする国は戦力的にも格段の差があるので、なかなか勝つことができない。
3) 中国による既成事実化かすすむと、結局、解決の方法は、うまく行ったとしても、中国が提案する共同使用という形を飲まざるを得ない。
4) 従って、南シナ海における中国の進出の問題を単に二国間の領有権問題としてだけで捉えるのではなく、むしろ地域内の各国の繁栄と生存を支える航行の安全と自由に対する挑戦であるということを認識し、第三国に対してもそのことを、強調して協力体制を作り上げていけば道は開けてくるだろう。そういう姿勢をとらない限り、よその国が介入する余地もないし、支援する立場も表明しにくい。しかし、この問題が二国間の領有権争いの問題ではなく、アジア太平洋地域の問題であるということを明らかにすべきだ。
5) 二国間の枠組みで対応するのではなく、アメリカを航行の安全と自由確保のための中軸として紛争の場に巻き込む必要がある。
6) さらなる拡大を防止するためにも、アメリカ海軍のプレゼンスは絶対に不可欠である。日本、中国、ロシアには、アメリカ海軍に取って代わる能力も政治的な裏付けもない。アジア太平洋諸国はこれらの国がアメリカ海軍の代わりに出て来たらそっぽを向くだろう。アメリカは領土的な野心がないので、消去法からいっても最適の国である。