5) 主催者の話では、日本からは外務省からこれまでずっと参加があったそうですが、今回は参加がありませんでした。防衛研究所の吉田靖之三佐がプライベートキャパシティで参加してくれましたので、日本としては一応かたちは整えられましたが、わが国の国益に深く関わる問題ですので、今後は政府の中からも、この大事な問題について、ぜひ積極的な参加を続けていただきたいと思った次第です。
6) (この項、小川彰)カナダは1992年から始まったCIDAの支援によりSEAPOLの事務局経費(約2000万円)と年4-5回の国際会議開催などの経費(約5000万円)の合計年額約7000万円を10年にわたり支援してきましたが、この「丸がかえ援助」は2001年3月で打ち切りになると聴いています。(上記の数字も小川のヒアリングの数字です)引き続きカナダからの支援はあるようですが、これまでのように事務局経費は持ってくれないということです。これにはジョンストン博士も頭が痛いといっておりまして、ランチの席で、日本が肩代りしてくれるとうれしいとも言っておられました。SEAPOLのアジアのメンバーで今回の会議に出ていたジャラール博士(インドネシア)、ピファ博士(タイ)も日本の支援を期待しておりました。SEAPOLの活動は地域の利益全体を追及するものですのですから、会議や出版によって儲けを出していく性質のものではありません。日本政府等がこの点を検討されることを期待します。
6:国際会議で出された各国の意見とペーパーの紹介
川村 つぎに会議の具体的な内容に移りますが、いくつかのポイントに絞ってお話しいたします。
まず日本人として特に嬉しかったのは、インドネシアの長老ジャラール博士が「マラッカ海峡の航行安全確保のために協力している国は唯一日本である。日本だけが協力している。韓国、台湾、中国はなにもしていない」と会議の中で何度も触れられたことです。非常に嬉しいような、こそばゆいような気がしました。ジャラール博士は声も大きく押し出しもいいので、その度に韓国、台湾、中国の参加者は下を向いていました。
これは、日本財団からの航行施設等の建設や安全な航行にための調査等が行なわれていることを積極的に評価したもので、それを国際会議の中で紹介してくれたのがジャラール博士です。彼は国際的には辛口の人で通っているそうですが、こと日本に関してはフレンドリーな発言が多かった。「日本は毎年3億円、過去30年にわたり、述べ約100億円をボランタリーに拠出してきた」とも言っておられました。
それでは目立ったペーパーについてご紹介します。