6:国際会議で出された各国の意見とペーパーの紹介
7:UNCLOS(国連海洋法条約)の無害航行の状況について
8:軍艦の無害航行に関する認識について
9:環境問題について
10:国際海峡の航行に関して
11:群島水域の航行に関するこれまでの経験と各国の態度
12:マラッカ海峡航行の安全確保の問題
13:UNCLOS成立の経緯
14:大内教授が提起した日本のプルトニウム輸送の問題
15:今後の課題と補足:2004年の国際海洋法改訂にむけての準備
日本からの参加者は4名で、川村純彦所長(川村研究所)、小川彰主任研究員(岡崎研究所)、吉田靖之研究員(防衛研究所)、大内和臣教授(中央大学法学部)でした。このほかに大内先生が大学院学生を3名連れてこられてオブザーバーとして出席しておりました。わたしたちは、大内先生とはマニラで始めてお目にかかりました。
この会議へは初めて参加させていただきましたが、国連海洋法条約が採択された1982年以来、新しい海洋法条約の策定に協力するために始められた会議で、今日まで約20年にわたり営々と続けられてきたものです。アジアには国連海洋法を適用するためにさまざまな問題があります。アジア固有の問題等に適用させるための必要な条件等を含めて議論をしてきたとのことです。
その中心になってきたのが、1981年にバンコックに設立されたSEAPOLです。もともと、SEAPOLは国連海洋法をアジアに適用するために20年前につくられたNGOです。このSEAPOLが中心になって、各国で順番にこのような会議を年間4回程度の頻度で開いています。
今回の会議のテーマはMaritime Transit Issuesで、フィリピン、タイ、インドネシア、マレーシア、韓国、日本、台湾、中国、その他東南アジアの国々、オーストラリア、カナダ、アメリカが参加しました。
国連海洋法条約のMaritime Transit Issuesへのアプローチには安全保障分野からと、国際法・海洋法からのアプローチがあるかと思いますが、今回の会議の主役は権威ある国際法学者を中心する会議であり、私や小川さんがいままで関係していた海洋の安全保障分野の会議とは、まったく違う人種から成っており、見聞を大いに広めることができました。
たとえば、インドネシアのジャラール(Hasjim Djalal)博士、タイ人でSEAPOL代表のピファ(Phiphat Tangsbkul)博士4、カナダのジョンストン(Douglas Johnston)博士、日本の大内博士などがその代表格ですが、2004年に海洋法条約が改定の時機を迎えるので、この人脈はわが国にとって、極めて重要になるかと思われます。これらの学者は条約の策定に関係し、影響を及ぼしてきた人たちで、「国連海洋法マフィア」と呼ばれている。
4多くの友人が「ピファ!」と読んでいるので、ここでも習慣にあわせてピファと記すことにした