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3:スービック(旧米海軍基地)の状況

 

スービックには夜8時に着きまして、旧基地内の奇麗なホテルに泊まりました。一泊90ドルでした。スービックのかつての海軍基地内はゲートがあって一種の租界の雰囲気ですので、ドライバーにたのんで、基地の外の夜の町をドライブして回りました。夜でしたが、旧基地中に出入りする人、あるいはそこからちょっと離れた場所にあるダウンタウンで見かけた人たちは、きわめて清潔なこざっぱりとした格好で、ほかの地域の非常に汚れた貧しい人たちとの格差が確かに見受けられました。ある程度経済的な潤いがあのだろうと思いました。人口は必ずしも多くなく、約十数万という感じですので、ちょっとした企業が何社かあれば、地元が潤う金を落とせるのではないかという感じでした。

翌朝は、基地内を約1時間ぐらいかけて車で回りました。かつての海軍基地中には、米海軍の巨大な港湾施設がそのまま残っておりました。新しく港を管理するためのフィリピン政府のヘッドクォーターも立派です。施設自体は非常に立派で、外国あるいは国内の企業を誘致すべく経済振興策がとられていました。

ただ、進出した外国企業の数もまだ限られており、私どもが見回った時点では、停泊している船の数も数隻で非常に閑散とした感じでした。企業もまだ期待ほどには進出してこないので、非常に立派な港湾施設が遊んでいるという印象です。広い施設のわりには、活動は丁重で、当初フィリピン政府が期待したほど活発でないという印象的を受けました。

私たちは、海軍基地に隣接するかつての米海軍飛行キュービー・ポイントにも行ってみました。かつては空母が入港するときは搭載機をこちらに飛来させて機体の整備をしていたわけで、日本の厚木基地のような役割をしていたわけです。大型の輸送機も発着できるし、整備もでき、非常に大規模な海軍航空基地だったわけです。

これが、現在は民間の国際空港として再開発が行なわれ、そこにアメリカのFederal Express社が進出しておりました。Federal Express社は急送貨物をデリバリーする会社ですが、ここをアジアのハブ空港として使い、米国からここへ貨物を運びこみ、ここから東京などアジアの各地にスポークを延ばしている。東京へは4時間程度です。ここをハブ空港として選定し、しかもデリバリーのネットワークを完成させていた点は、見事な成功例ですが、どうも、これが唯一の成功例のような気がいたしました。

民間の航空会社はほかにも乗り入れているらしいんですが、広い滑走路にFederal Express社の輸送機だけがやたらと目につきました。隣接地域には、外国の企業、あるいは国内の企業の倉庫やちょっとした組み立て工場が建設されていましたが、火曜日の午前中ですが人の姿はほとんど見ませんでした。

クラーク・エアフィールドを見た際に、そこがあまりうら淋しいと言ったら、これをきいたドライバーが「明日行くスービックはもっと大規模で、しかも成功している」というものですから期待していたのですが、期待したほどの成功とはとても見受けられませんでした。この、ドライバー氏はJICAの仕事もしていて何度かこちらには来たことがあるとのことですが、そういう特殊な目的を持った客は滅多にいないので、大使館でも基地跡地を案内できる専門のガイドはまだいないから斡旋できないとのことでした。

 

 

 

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