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われわれの意見は、海軍の必要性が認識されることが、ひいては国連海洋法条約の国際法上からも、海軍力の展開の正当性を主張する根拠になるというものですが、これについては、博士は多いに賛同しておりました。私どもが実施しているオーシャン・ピース・キーピングの研究成果については、逐次わたしの方から送っておりますし、バレンシア博士も非常に興味を持ってその成果を見守っているところがあります。

 

1.10.:海洋の総合的管理のためのマルチ

 

小川 今度はバイとマルチの問題ですが、例えば漁業協定の問題で、日韓、日中という二ヶ国間の協定でやっています。彼が言っていたのは、魚は行ったり来たりするし、ぐるぐる回る。これをマルチの方向に持っていくべきだというのが、バレンシア博士の意見でしょうか。

秋元 海洋を総合的に管理するためにはどうしても地域で関係する国が全員参加しなければ成り立たない。したがって理想的にはマルチの枠組をつくっていく必要がある。これが、彼が考えているところです。

たとえば、「排他的経済水域の魚であるから云々」といっても、現実には、ストラドリングといって二つの国にまたがって棲息する魚だとか、あるいはマイグレーションといって多数の国の海を巡回する魚がほとんどです。ですから、ある一つの国が、自国の排他的経済水域で資源の最大漁獲量や必要量を定めて、それを保護したとしても、あまり意味がない。他国、あるいは公海上で魚を採られてしまったら全く何の意味もないことになりますからね。したがって、マルチの枠組が当然必要になってくるわけです。

 

1.11.:二ヶ国あるいは三ヶ国で取り決められるものは取り決めていく

 

しかし、安全保障や、川から垂れ流される汚染などの陸上起因の海洋汚染は、マルチではなかなか扱いにくいところがあり、これはどうしてもバイでやらざるを得ない。バイでやれば、うまく進むところがある。これは、日韓、日中の漁業の暫定水域の事例を見ても歴然としていますが、バイの方が進んでいくところがある。それは致し方のないところなのです。

それはそれでバイで進めていくべきで、機が熟したら、マルチの体制に行くこともできるだろう。しかしそれはあせって到達すべき目標ではなく、あまりマルチという着地点を気にする必要はないのではないか。二ヶ国あるいは三ヶ国で取り決められるものは、その都度具体的に取り決めていく、できるものからやっていくことが必要だろう。これが博士の考え方であると思います。

 

 

 

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