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山本 その通りだと思います。タンジーさんが言った、いわゆる昔の古い人たちがつき合ってきたやり方というのは、彼らはお互いに戦った間柄ですからですね。日本側は、こてんぱんにノックアウトされるまでやって、強大なアメリカというものを体で受けとめて、そこで一敗地に塗れて、完膚無きまでに叩きのめされた。そういう経験から、彼らと一緒に生きていかないと、日本の生きる道はないという認識のもとにやってきたわけです。そういうことが心の中にあるので、仲良しクラブみたいな形になってもうまく行くんです。われわれはそれを目の当たりに見てきましたからね。

ところが今の世代となると、そういう過去の経緯や反省を忘れてしまって、悪く言えば思い上がってしまっている。「日本とアメリカがどうして一緒にやらにゃいかんのか」とか、「日本だって相当できるじゃないか」と言う声を聞きますが、これはひとり自衛隊の若い幹部だけではなく、日本人全体にある気運ですが、そういう思い上がりのようなものが出てきているということは非常に危惧されるところです。ですから、アメリカが本当にどれだけの力を持っており、どういうものかをもう一回認識して、それで日米関係が必要なんだということを、もう一回再認識しなければならないと思います。

小川 本当はそういうことを考えなければいけないんだけれども、日々追われている仕事は、ホスト・ネーション・サポートの問題、神戸のポート・ビジットの問題、「神環保」である。そしてガイドラインの再定義も、まあ、日々の仕事の延長線上にあるといってよいでしょう。アメリカ側のジャパン・ハンドラー(日本担当者)のエネルギーの大半をも、これらの問題が消費してしまって、新しい関係を構築するための余力が残っていないということですね。

 

12:「思いやり予算」はほかに何も出来ない日本の「金看板」

 

山本 ホスト・ネーションの問題は、岡崎さんが『正論』のコラムに書いておられました。「思いやり予算」はほかに何も出来ない日本の「金看板」だから、削る馬鹿があるかという議論で、その通りだと思います。

「思いやり予算」を削れという乱暴な議論の根っこは、「あんなものをアメリカにやる必要はないじゃないか」という日本の分を忘れた思い上がりにあるとわたしは見ています。「なんでアメリカ基地にそういう支援までしなければいけないのか」と薄っぺらな理解で発想するのが一般的な論調かと思いますが、ところがそうではないんです。アメリカが日本国内に基地を保有するのは必要があってのことで、われわれが「思いやり予算」をなぜ出さざるを得ないかということを、やはり、国民に啓蒙しなければいけない。啓蒙しなければならないけれども、あまりはっきり言ってしまうと、国と国との関係がおしまいよ、というところもあるから、岡崎さんもそこまではなかなか書けないんですね。

小川 やはりこれは書いて教えるというよりは、生身の人が生身の将来の幹部に薫陶するということですかね。

 

 

 

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