パールハーバーにありますCINCPACFLT訪問は2日目(16日)の午前中になりました。ダウンタウンからは車で30分ぐらいかかります。
訪問目的は、主として表敬にありましたが、事前にCINCPACFLTの司令部の方から、「日本の国内情勢をいろいろ聞きたい」という希望がありましたので、それなりの準備をして臨みました。記録を見ますと、前回CINCPACFLTを訪問したのは、1998年2月ですから、ちょうど2年ぶりの訪問となります。前回も今回も斡旋はタンジー氏にお願いいたしました。
ラウンドテーブルには先方から5名が出席しまして、日本の政治情勢、国民の意識の変化、特に対中問題、あるいは小渕政権の安定度と将来の展望等について、突っ込んだ質問がありました。向こうからの質問がなかなか止まらないものですから、この時は、こちらは回答するだけで終わってしまい、相手の状況を聞き出す時間がとれませんでした。
そのため、日を改めて滞在4日目(18日)の金曜日の午前中に再度CINCPACFLTに出かけました。この日は、主としてタンジー氏から、いまアメリカの太平洋艦隊が懸念している問題はなにか、あるいは日米間でどういう問題がいま一番深刻なのかということを聞くことにいたしました。このときの会合は1時間あまりでしたけれども、中味としては非常に濃いものがありました。
これからお話しする日米同盟関係に関する話題のポイントは次の通りです
1:今回のハワイでの調査の眼目
2:「5年、10年、15年先の将来を考えると、日米関係が心配だ」
3:「シンカンポ」問題
4:いわゆる「思いやり予算」(Host Nation Support)削減問題
5:青写真を描いている時間がない
6:ガイドライン関連法も穴だらけ
7:調達問題
8:最大の問題は、日米の若い世代が同盟の歴史を知らないこと
9:「ガイドラインは決着した」と思うのは錯覚
10:単なる合言葉では、日米関係を担う次の世代の教育はできない
11:自分の頭で考える
12:「思いやり予算」はほかに何も出来ない日本の「金看板」
13:徳川家康に学べ
14:21世紀の日米関係構築はトラックIIでの研究に期待
15:クリントンの曖昧性戦略が幕僚レベルまで行き届いてしまっている
16:「中国の現役将校ら現政権を批判」という記事
2:「5年、10年、15年先の将来を考えると、日米関係が心配だ」
そこでいまから、第4日目の意見交換の内容を報告いたします。
タンジー氏の意見の中でひとつ深く印象にのこりましたのは、「いま確かに日米関係は過去に一度もないぐらいうまく行っている」と切り出したあとで、「しかし、5年、10年、15年先の将来を考えると、私は非常に心配でならない」と述べられたことです。