問題は85%の利益を得ている陸上にいる司令部です。司令部には、ビジネススーツに身を固め、パソコンを駆使し、表では普通の事業を営み、裏では海賊もやる連中がいる。これはビジネスですから、そこには投資家もいれば、強奪したアルミを3千トン、4千トン引取って右から左へさばくブローカーもいる。ですから、海上保安庁が、今後、いくら海上でのパトロールを強化しても、広い海での海賊取締りの実効性はなかなか上がらないでしょうね。金の流れを徹底的に探ること、彼らの情報入手経路を破壊することが海賊対策ということになるのでしょう。
31:日本は集団的自衛権の問題を解決するのではないかとの見通し
次に、南シナ海に面している国の海軍大佐から、「中国とのいろいろ領土紛争があるけれども、日本のリアクションはいかなるものか。また日本と韓国は南シナ海でもSLOCを共有していると思うけれども、どうなのか」という質問がありました。
川村 日本は、少なくとも1000カイリについては自分でシーレーンを守ることをかつて宣言しました。1981年に鈴木善幸首相が訪米したときのことですね。
さらに、96年4月のクリントン・橋本会談の安保再定義では、いわゆるホームランド・ディフェンスだけに日本側が専念する時代は終わったと宣言しました。日本は、この地域の平和と安全のためにも積極的に貢献するということをはっきり宣言したのです。「それが1996年の日米共同宣言の意義であった」と説明しました。
シーレーンの安定は、日本の国益にとっては最大のものです。その安全については、日本は積極的に協力することになるでしょう。
もちろん、日本には、自分から課した集団的自衛権の問題があります。しかし、それは長い目で見ると解決される。私は、そんなに長くかからずに、日本は集団的自衛権の問題を解決するのではないかとの見通しを語りました。
32:海賊対策の小渕イニシアティブへの期待
小川 川村さんはアドリブでおこたえでしたので、わたしのメモをもとに川村さんの回答を再構成しますと、川村さんは先ず「日本はアメリカのフォワード・プレゼンスを信用します」ということを言われました。それから二番目は、「この地域は各国の取りまとめをする人がいない。長い間、誰もイニシアティブをとらないので困っていたんだけれども、99年11月にマニラに小渕首相が行き、そこで日本が海賊対策のイニシアティブを取りますと宣言した。そして2000年4月(もう間もなくですが)、日本でその海賊対策の会議が開かれる。それに注目して下さい」とおっしゃいました。これは聞いていた人たちから大変な期待が盛り上がりました。
33:語られない影のアジェンダ「中国」の存在
それから次はアメリカの近くにある国の白人の方からの質問でしたけれども、「例えば海賊問題ということで、小さく子供を産んでおいて、あとで南シナ海の問題を総合的に扱うものに大きく育てるというふうに行くのか」というやりかたについての質問がありました