日本財団 図書館


29:OPK(Ocean Peace Keeping)構想

 

それからコーストガードの人が研修に来ていました。「アメリカでは、1790年から沿岸を守るためにコーストガードを持っている」という話をされ、「現在、取り立てて脅威になるものはないんだけれども、これからアジア諸国のコーストガードとアメリカ海軍の協力の可能性はあるのか」という質問をされました。

川村 それにつきましては、秋元さんが発展させてこられたOPK(Ocean Peace Keeping)の構想が直接の回答になっていますね。平時においての話しですが、海軍ばかりか、海上保安庁、コーストガードを含めた海のアセットをフルに使って各国が協力するという構想です。この構想はmade in Japanですが、詳しい説明は、時間的に制約があって無理でしたから、特にしませんでしたけれども、秋元さんを指名して、簡単に話しをしていただきました。たまたま秋元さんがペーパーを持参されていたので、コピーを教官に渡しましたので、あとで学生のあいだで議論になったようですね。

OPKには、海の共同パトロールの話もでてくるわけです。そういう構想が日本では考えられていて、賛同を得ていると紹介しました。特に海賊問題で、海の共同パトロールの機会が増えるだろうと答えたと記憶しております。

 

30:「21世紀型海賊」

 

小川 海賊の問題については、川村さんが「21世紀型海賊」と題する論文を日本の雑誌に最近書かれました。「21世紀型海賊」のさわりを、教室ではお話になられましたが、ここでは詳しい話しは割愛します。(「21世紀型海賊」の全文を末尾に掲載)6

これまでの海賊は海の上で獲物に遭遇すると追剥強盗を働くという、ローテク犯罪だった。知能犯ではないので、パトロールを強化すれば防げたかもしれない。ところが、「21世紀型海賊」はハイテクを駆使した知能犯で、たとえば襲われた日本のアロンドラ・レインボー号の場合ですが、どこの港でアルミを大量に積みこんでいるか、いつ出航するかも、わかっていた。海賊船にマラッカ海峡で夜中に待ち伏せされて船を乗っ取られたが、乗っ取る前からアルミの売りさばき先は決まっていたようです。捕まった海賊の実行部隊の写真はインターネットで公開されていますが、実行犯はあいかわらず昔ながらの海賊の面構えをしていますが、ガブリエル中森氏によると、彼らの取り分は恐らく15%ぐらいじゃないかと言う。

 

6 月刊『草思』(草思社)2000年3月号。このほかに、海賊問題についての情報ソースとしては、日本財団のホームページ、あるいは、軍事政治評論家ガブリエル中森氏が主催する研究所のhttp://www.zephyr.dti.ne.jp/~gabriel/ 参照。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION