曖昧政策でアジアに火をつけておいて、火が燃え上がったら慌てて消火に駆けつけるというのでは、マッチポンプ以外の何ものでもないじゃないか」といったのです。今回のハワイ滞在中、以上のメッセージを、APCSSだけでなく、機会ある毎に米側関係者に伝えようと努力してきました。複雑な表現については、小川氏の援助を得ながら、わたくしなりに、拙い英語で訴えたのですが、それなりに理解は得られたものと思っています。わたしは、「歴史の教訓に学び、曖昧政策の帰結を理解し、こういう愚行を、なんとしても繰り返してはならない。米国の確固たる姿勢が強く望まれる」と言ったのです。
小川 ありがとうございました。山本さんのお話しには皆さん傾聴して、「とてもいい話しだから、Newsweekあたりに持ち込んだらいい」とまで助言されましたね。
それでは引き続き、APCSSについて皆さんからお話をいただきたいと思いますが、まず、その前に私からご報告します。ジム・ラッキーさんから次のようなお話を伺いました。
8:APCSSの概要:35カ国、348名の卒業生
そもそもこのセンターが誕生した契機は、ペリー国防長官が95年9月にハワイに訪問したときのことで、96年9月から12週間の教育コースが始まり、現在までに、37ヶ国、348人の卒業生が出ている。96年、97年はそれぞれ1クラスの卒業生を出しただけだが、98年、99年には3倍増で、3クラスずつ卒業させた。卒業生の内訳は、ミリタリーとシビリアンとが混ざっているということでした。95年頃は、アメリカの安全保障に関する考えかたが漂流気味で、沢山の国を集めてお互いにルールをつくったり、信頼情勢をすすめる「マルチ」が盛んに提唱されていましたね。
37ヶ国と言いましたが、現在は34ヶ国になっており、排除された3ヶ国は、北朝鮮とミャンマー、「そして非常に残念ですが」と担当者がいってましたが、東ティモールの問題があるので、インドネシアが除外されている。それで37−3=34ですが、インドネシアについては第1期生から第9期生まで出ているので、今回の第10期生は抜けてしまうけれども、「第11期からはまた入ってもらうべく招いている」とのことでした。それから、台湾については、「APCSSでは、国連ルールを使っているので、台湾を国として認めていない。だから、台湾からの参加者はいない」とのことでした。
学生ひとり当たりかかる費用は、食事とロッジングを入れて13週間で13,000ドルぐらいだそうです。ただし、うまく工夫をして自炊をすると、8,000ドルぐらいであがるケースもあるということでした。授業料と食事と宿舎込みで、1週間あたり1,000ドルかかる。中国人は自費では来ない。アメリカ側が費用負担しないと来ない。米議会が「研修なら認めるが、純然たる教育経費は負担しない」と言っているので、中国からアメリカに「防衛を勉強に来る」という受け入れの接点はないそうです。