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筐体部分の大きさは、オレゴン大学で用いられているサテライトタグと同形であるが、重さでは、サテライトタグの5分の1程度である。箇体は強化ナイロンを使用しているために極めて軽量である。小型軽量であるが、衝突強度は弱い。特に、サテライトの基盤が脆弱であることを開発者は指摘している。これはポップアップタグの欠点というよりもサテライトタグの欠点でもある。

開発者は、気づいていない点として、1年間海中にあることの付着動物の問題である。ロテック社の回収されたデータロガの例をみても、1年間海中にあることから付着動物の影響は拭払できない問題である。軽量であるがゆえに防止策の検討は、他のタグよりも必要と思われる。(マイクロテレメトリー社のDr.Paul W.Howeyからの聞き取りを整理した。)

6. サテライト及びGPSトラッキングの難点

サテライトトラッキングに関して、昨年試作したサテライトタグの仕様から説明する。このサテライトタグは、60日間の寿命を有し耐深200mである。筐体は直径19mmの長さ230mmで重さが300gである。浮上スイッチにより発信される。水温及び水深の連続情報を1日間蓄積し、クジラが5分間隔で浮上するとして2日間をかけて発信する。よって2日間隔で位置情報が得られることになる。

サテライトトラッキングの場合、位置情報が重視され、水深情報は、装着の可否の確認に使われる。浮上スイッチは、電力の省力化に有効である。固定式装着の場合、アンテナの姿勢により受信性能が大きく左右する。曳航式装着は浮上スイッチ及びアンテナ姿勢が固定式よりも安定することがうかがえるが、重量と大きさがかさばってしまう。現況では浮力体を含め1000gになってしまうことから、固定するピンは強大なものが必要となり必然として動物体への負担が大きいものとなる。

ロテック社のデータロガとGPSを併せたトラッキングシステムが海牛類やモンクアザラシで試みられた。短期間の装着であるが、詳細な位置情報を得る目的から採用された。しかしながら、GPSの場合、耐深強度と電力消費からサテライトタグと同様に重量と大きさがかさばる状況である(図9)。したがって、長期間装着の場合には、抜本的な小型軽量化を図らなければならない。

 

 

 

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