7. サテライトタグVSアーカイバルタグ
コストパフォーマンスからみると、標識タグ<アーカイバルタグ<サテライトタグとなる。回収とその情報量でみると、標識タグは大量に装着することが可能でその回収率も高い。しかしながら、その情報は、質・量(装着と回収の周辺情報のみ)ともに、後者のものと比べ極めて少ない。アーカイバルタグとサテライトタグを比べると、装着の容易さと動物体の影響ではアーカイバルタグは、標識タグと遜色のないところまでに開発が進んでいる。サテライトタグの有効面は、位置情報の精度である。アーカイバルタグにおける位置情報の誤差は100km前後で、サテライトタグのそれは、1km前後である。情報の回収率でみると、両者間では甲乙をつけがたい状況にある。サテライトタグは、発信及び送信条件が動物体に装着された状況によって大きく限定されてしまう。最も確実な装着は、捕獲し発信及び送信に有効な部位に固定することである。しかしながら、この場合においても海洋漂流サテライトブイに比べ安定し長時間送信できない。動物体に装着していることから、得られる情報が大きく制限されていることと1年を通じて発信できる電力の供給方法が開発されていない状況にある。アーカイバルタグは位置情報の誤差を除けば、長寿命及び情報量の多さと多様性ではサテライトタグをはるかに凌いでいる。しかしながら、回収されないと情報が得られないことから、これまでの成功例は、マグロに代表されるような漁業対象種である。
マグロの例を参考に、捕獲調査により採集されるミンククジラを例にみると、年間50乃至100個体にアーカイバルタグを装着し、採集個体400頭から年間1乃至2個のタグが回収されれば、サテライトタグを100個装着したときよりも、貴重な情報を得ることができる。また、複数年の情報も得られる可能性も特筆すべき点である。回収がままならないシロナガスクジラの場合は、ポップアップタグが有効である。(ロテック社のMr.Keith Stoodleyからの聞き取りを整理した)