アーカイバルタグの現況
標識タグの代わりに、装着から回収にいたるまでの連続情報を記録するものである。固定装着式の長寿命・連続蓄積型データロガである。マグロやサメといった高度回遊型魚類に用いられ、回遊経路とともに日周の潜水行動が明らかにされつつある。また、長寿命(7年間の連続情報の蓄積)であることから、加齢による回遊行動の変化を把握できる、高い実績をあげている。サテライトタグと比べ小型軽量である。遠洋水産研究所でマグロで採用されているアーカイバルタグは、体内装着式で直径15mm、筺体部が95mmの空中重量は35gである(図7)。遊泳水深と水温及び照度情報のみであればより小型で、基盤を樹脂包含するために耐深及び衝突強度が他のタグに比べて極めて強である。またサテライトタグのように装着の部位や方法に限定されない。体表固定装着であれば、クロスボウや標識銃による装着も可能である。
現在、短期間使用で多用する場合はデータロガを、長期間追跡の場合で回収機会のあるものに関してはアーカイバルタグが用いられている。
音響タグにおいてもアーカイバル機能を有するものが開発されており、蓄積情報を一定間隔やターミナルの受信範囲に入ると自動的に送信する機能を有するものが開発されている。(ロテック社Mr.Keith Stoodley及びべムコ社Mr.Frederick A.Voegeliの聞き取りを整理した。)
ポップアップタグの現況
ポップアップタグは、マイクロウエーブテレメトリー社のDr.Paul W.Howeyにより開発され、いくつかのメーカーから類似品が出ている。ポップアップタグは、アーカイバルタグとサテライトタグのハイブリッドといえる。動物体に装着し、一定期間(最低1年間)の連続情報を蓄積したのちに、動物体から切り離され、水面にアンテナが浮上した後、それまでの情報をアルゴスサテライトに送信する。これは、アルゴス海洋漂流ブイと同様のシステムである。
現在、マグロに用いられているポップアップタグは標識チュウブタグに取りつける形をとり、切り離された後は標識タグとなることを意図している。
記録性能は1分間隔で水温、水深及び照度を連続記録することができる。耐深1000mである。耐深に関してはすでに3000mまで改良できるようになっている。1年間連続記録することができる。
小型軽量で、浮力体を含む直径が35mm(崖体は20mm)、筐体部分が216mm、アンテナが160mmである。空中重量が65gである(図8)。